10年前の被せ物を交換。二次虫歯の治療と仮歯・クラウンの装着

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歯の被せ物を交換してもらうにあたって、ゴールドやセラミックなど保険適用外の素材について調べ尽くした。メリットは十分実感できたが、いざ数万払うとなると臆病になる。結局うやむやなまま時間切れで、いつものパラジウム合金で治療してしまった。

今後は定期検診を欠かさないようにしようと思う。もしそこで銀歯に不具合が見られたら、次こそはお金を貯めて金歯に差し替えたい。

歯茎が下がって段差ができる

現在、自分の口の中に4か所くらい入っている銀歯は、過去20年の虫歯治療で入れてもらったパラジウム合金だ。

今回歯医者で交換をすすめられたのは右奥第二大臼歯のクラウン。10年以上前に上の親知らずを両方抜いた際、共倒れで左右とも大きな虫歯になってしまった個所だ。

歯茎との間に大きな隙間ができてしまい、ここから内部が二次虫歯になっている可能性が高いという。確かに指を差し込んでも、容易に爪が引っかかるほど目立つ段差が生じている。

段差の部分に食べかすが挟まりやすいため、食片圧入で痛くてたまらないという自覚症状もあった。特にローストビーフや鶏肉、えのきだけなど、繊維質なものを食べるとごっそり挟まる。

デンタルフロスが必需品

何年もの間、外食後もすぐトイレに駆け込み食べかすを取り除かないと、痛くて仕事にならないのが悩みの種だった。

おかげで外出用のカバンすべてのポケットに糸ようじを常備してある。うっかり忘れると出先で毎回買うことになるので、家の中には10個くらいデンタルフロスがストックされている。

持ち運びと経済性を考えると、柄のついた糸ようじより巻いてあるタイプが合理的だ。ジョンソン・エンド・ジョンソンのリーチが昔から定番で、他社製品より長さがある代わりに価格は少々高い。

最近はマツモトキヨシのPBや、安いノーブランド品で間に合わせている。歯間の食べかすを取るという基本機能については、どの製品でも大差ないように思う。

かつてはヤスリのようなノーワックスタイプを愛用していたが、1日に何度も使用するので歯が削られる気がしてきた。

フロスをかけすぎたのか加齢によるものか、歳を取るほど歯の隙間が空いて、ますます食べかすが挟まりやすくなっている。念のため最近は滑りの良いワックスタイプを選ぶようにしている。

趣味で山に登ったりする際も、常に糸ようじが必需品だ。最近は歯周病治療のため、歯間ブラシも出張で持ち歩くようになった。さすがに毎食後にブラシを通すのは面倒だが、夜寝る前だけはきっちり歯間をケアするよう心がけている。

銀歯は無事だがセメントが劣化

被せ物を交換する理由は、正確にいうと素材がぼろくなったわけではない。歯周病が悪化して歯槽骨が破壊され、歯肉が下がって相対的に隙間が広がった状態だ。銀歯自体は特に黒ずんだり錆びたりしているようには見えない。

下の奥歯の詰め物も、若干まわりに隙間が目立ち始めている。これも素材自体の変化というより、歯磨き不足で周囲が侵食されている気配が濃厚だ。

銀歯と歯の間のセメントが流出するのも二次虫歯の一因といわれる。銀歯は固そうだが、その下のセメントはあくまで接着剤。噛み合わせの圧力や温度変化で壊れやすいという説には信ぴょう性がある。

案の定クラウンの下は虫歯…

クラウンの代替素材としてゴールドの利点は理解したが、たまたま今は金相場が高くて年明けから2割は値上がりしている。歯医者で見積りを取ってもらうと、奥歯一本で時価7万円とのことだった。

先に古い銀歯を取り除いてもらったところ、中の歯は医師の予想どおり虫歯が進行していた。かろうじて神経こそ抜かれていないものの、過去の治療で何度も削られ、わずかに中心部分だけ残っている状態だ。

少々グロテスクだが、写真で見るとこんな感じ。銀歯を粉砕する過程で虫歯も削ってもらえたようだが、まだ少し黒ずんだ部分が残っている。

クラウンを外した後の二次虫歯

今回は治療前に麻酔をしておいてもらってよかった。ほぼ神経がむき出しになっている状態なので、ちょっと風を吹きかけただけでも激しくしみる。長年被せ物で守られていただけで、重度の虫歯だったことには変わりない。

結局ゴールドでなくいつもの銀歯

歯髄が無事だということは虫歯の程度でいうとC2。しかし残りの象牙質はごくわずかで、インプラントの土台くらいにしか見えない。お金をかけてゴールドを被せても、いずれ抜かざるを得なくなると無駄になりそうな不安を覚える。

結局迷っている間に、プラスチックの仮歯を経ていつもの銀歯が用意されてしまった。初診の問診票に、「保険適用希望」とチェックを入れていたこともあるだろう。

まともに稼いでいたときならまだしも、今は貯金を食いつぶしている生活。金歯1本で数万の出費は痛い。詰め物もすべて交換すると、数十万単位の投資になる。

調べるだけ調べたが、現状で金歯に総交換するのは身の丈に合わなかったといえる。

二次虫歯の治療と仮歯の装着

古い銀歯を分解した日に二次虫歯も治療してもらった。削った部分には白っぽいレジンが詰められて形が整えられている。クラウンの土台としては平滑な方が安定するようだ。

そこから2週間ほど、容態が安定するまでプラスチックの仮歯をはめることになった。形はそれっぽいが、舌触りがざらざらしていて明らかに異物感がある。

仮歯は取れやすいのであまり強く歯磨きしないように注意されていた。しかし隙間に食べかすが挟まったままなのはどうしても気になる。2週間後に再診察して歯の型を取った翌日、歯間ブラシを差し込んだ拍子にプラスチックの被せ物が取れてしまった。

土台がむき出しだと少々しみる。食事をする際は、入れ歯のように仮歯をはめて物を噛む。歯を磨くときはまた取れば、隙間もしっかりブラッシングできて気持ちがよい。

これはこれでありかと思ったが、念のため翌日歯医者を予約して仮歯を付け直してもらった。今度はセメントをたっぷり塗ってもらったせいか、前よりも強固に接着されている気がする。銀歯に差し替えるまであと1週間なので、その後は無理して歯を磨かないように気をつけた。

セメントが歯間に挟まると痛い

仮歯はしっかり固定されたのだが、なぜか奥歯の異物感が前よりも増した。かつてのように、ずっと食片が隙間に挟まって痛い感じがする。仮歯が取れない程度にデンタルフロスを差し込むが、一向に解消される気配がない。

しばらく痛い思いをして、ようやく銀歯に交換する日が来た。仮歯を取ると急にすっきりして痛みが引き、どうやらセメントの残りが歯の間に挟まっていたようだ。

銀歯に替えたあとも、はみ出たセメントがしばらく歯のまわりに固着して違和感があった。糸ようじが最後の方まで入らず、明らかに途中で突っかかる感触がある。また痛くなりそうで心配だったが、銀歯を付けて1週間ほどするとバリが自然に取れたのか、違和感は解消された。

新しい銀歯のフィット感は上々

銀歯の装着には思いのほか時間がかかった。歯科技工士につくってもらったクラウンは少々背が高かったようで、かなり削って噛み合わせを調整してもらった。

被せ物が厚すぎると、下の歯を削って痛めてしまうことになる。自分の場合は夜中の歯ぎしりも指摘されていたので、さらに念入りにフィットさせてくれたのかもしれない。

余分なセメントが取れると銀歯の装着感は快適になった。交換前より段差が減って、食事中に物が挟まりにくくなった。また舌触りも仮歯と比べ物にならないほどスムーズで、体感的には保険適用のパラジウム合金でも不満はない。

手前の第一大臼歯との間に隙間はしっかり空けてもらえたので、従来どおり歯間ブラシを通せるのがうれしい。最初は一番細い3Sしか通せなかったが、セメントの破片が取れたら2段階上のSサイズまでしっかり入るようになった。

最初は腫れた歯肉から血が出るのでおそるおそるだったが、太い歯間ブラシを入れる爽快感は病みつきになる。デンタルフロス中毒を超える、さらに甘美な楽しみを発見できたといえる。

おかげで1日30分歯を磨いても全然苦にならない。もともと歯磨きは人より長い方だったが、毎日の瞑想やジョギングのような習慣として定着した。

奥歯の奥は磨きにくい

その後の診察で、奥歯の最深部に当たるクラウンの裏側、歯茎が少し腫れていると指摘された。余分なセメントを除去する過程で出血していたので、局所的に歯周病が悪化してしまったのだろう。

面倒だがここだけは毎食後にタフトブラシを当てることにした。歯の間ではないが、L字型の歯間ブラシを回り込ませても効果はありそうだ。

上の歯はすでに親知らずを抜いた後なので、奥歯の裏に磨きにくい隙間ができてしまっている。普通の歯ブラシでは絶対に届かない場所なので、特殊な清掃用具が必要になる。

前歯の色がおかしい?

歯周病の治療とは別に上側の前歯が一本、色がおかしくなっていることも指摘された。確かに目立つ場所なので、今までにも何度か人に言われたこともある。

自分では色盲のためか、それほど違いがわからない。白色に薄い黄色やピンクが入っているのを見分けるのは苦手だ。言われてみれば、片方の前歯が少しグレーがかっているようにも見えなくもない。

「これまで前歯を激しくぶつけたことがありますか?」と聞かれ、思い当たる節がないこともない。子どもの頃にけんかで殴られたとか、野球やサッカーでボールが当たったとか、その後何日か歯が痛くて悩んだような記憶もある。

万が一なかの神経が死んでいるおそれがあるということで、念のため前歯だけピンポイントのレントゲンを撮ってもらった。今どきの歯科医では、局所的に解像度を上げた簡易撮影も可能なようだ。

レントゲンで見た中の神経は無事

結局写真を見て神経が消えている暗がりは見られなかった。今のところ治療の必要はなく、経過観察という流れになった。

普段痛みもない前歯が死んでいるとしたら驚きだが、神経がないので痛くないのは当然か。自分でもよく見える場所なので、不具合があるというのが意外だった。

どうしても色の違いが気になるなら、セラミックを被せたりして調整する方法もある。しかし素材を取り付けるために、少なからず健康な歯を削ってしまうことになる。歯科医で受ける専門的なホワイトニングも、手間とお金がかかるわりに永久的な効果は期待できない。

年齢とともに歯全体が黄ばんだり着色したりしてきているので、今さらどうしようもない気がする。虫歯や歯周病の治療ならともかく、見た目を気にし始めると際限なくお金がかかるのが歯科医療の落とし穴だと感じた。