長すぎる時計のナイロンベルトをきれいに短くする方法~はんだごて編

ダニエルウェリントンが流行らせてくれたおかげで、「シンプル時計にナイロンベルトを合わせると今っぽく見える」という素晴らしい法則が誕生した。そろそろ賞味期限も近そうだが、もともと汗かきのオヤジとしてはナイロン大好きっ子である。

久々に購入した機械式時計に合わせて新調した、モレラートのナイロンストラップPARLON。NATOタイプほどではないが、少々長くて細腕に余るので自前でカットしてみた。何となく勘で端部を加熱してみたら、思いのほかきれいに仕上がったので、ノウハウを共有したいと思う。

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ナイロンベルトに対する愛

ダニエルウェリントン以前に、ロレックスにストライプ模様のNATOベルトを通すというスタイルは存在していた。俗にいう007スタイルで、1960年代の『ゴールドフィンガー』あたりからこれ見よがしに登場する。

 

ファッション文法的に、スーツにダイバーズウォッチやナイロンベルトが似合うとは思えないが、ジェームズ・ボンドは肉体派のスパイなので許されるのだ。ROLEXにはとうてい手が届かないので、パッと見似たようなセイコーのダイバーズで気取ってみることはできる。ただあまりに007コスプレ色が強いので、勇気がいるスタイルだ。

身の回りにあるもので、「思ったより臭い」No.1は一度も洗ったことのない自転車ヘルメットのあご紐ストラップだ。おそらくその次に臭いのは、長年使いこんだ時計の革ベルトだろう。下の写真は10年選手の時計ベルト。元はモレラートのそこそこよい天然皮革サドルレザーだが、顔を近づけるのも恐ろしい。

たまたま軍用時計のマラソンウォッチを買ったら、付属で付いてきたナイロンベルトが思いのほか使いやすいと気づいた。軽くて通気性もよく蒸れにくい。汗を書いたらバネ棒からスルッと抜いて石鹸で丸洗いできる。

年季の入った革のベルトからナイロン素材に付け替えると、まるで長年洗っていないヴィンテージのジーンズから、ポリエステルのジャージに着替えたような快適さだ。

1日中からだに密着してるアイテムなので、見た目以上に実用性が気になる。金属アレルギーを気にしてチタンやプラチナのケースを選ぶより先に、ベルトをケアした方がいい。

ウレタン、コットンよりナイロンがいい理由

ウレタン素材のベルトも丸洗いできるが、通気性ではナイロンが勝る。ゴムのベルトはいかにもG-SHOCKやスマートウォッチというスポーツ・カジュアル風だが、ナイロンベルトは007やダニエルウェリントンのおかげで、それよりドレッシーに見える。

むしろTシャツ・短パンみたいな普段着なら、革よりナイロン素材の方がマッチする。ハミルトンのカーキにコットン素材のベルトを通すという鉄板コンビが存在するが、ちょうどそんな感じだ。

ナイロンだと摩擦で劣化しにくく、下手に味が出なくてシックな外観を保てるのもいい。キャンバス地のハミルトンのように、一気にアメカジっぽくならないのがツボだ。

ラグ幅が合わない悩み

マラソンのナイロンベルトはラグ幅16mmと、市販のNATOベルトより一回り細いラインアップがあるのが特徴。また、NATOストラップのように余計な補強や折り返しがなく、すっきりして見えるのも好みだ。

せっかく薄いナイロン素材で強度も十分なのだから、無駄に長くして巻き付けるのはナンセンスに思われる。マラソンのベルトは遊環も同素材で縫い込まれており、ぶらぶら動かないのもいい。幅はしっかりあるので、これだけでベルトの余りもしっかり留まる。

新しい時計にマラソンのナイロンベルトを移植してみたのだが、ラグ幅が18mmだったので若干足りない。ジェームズ・ボンドはそのあたり気にしないようだが、バネ棒が隙間から見えて貧相なのと、ケースに対してベルトが細くアンバランスなのは気になる。

究極の薄型パーロンベルト

代替製品を探しているうち、さらに通気性のよさそうなパーロン素材のナイロンベルトが存在することを知った。Amazonでも安いものが出回っているが、モレラートにもラインナップがあったので今回もそちらから入手。せいぜい1,000~2,000円の製品なので、できるだけ品質の良いものを選びたい。

スペック上の厚みは1mm。あまりに華奢すぎて、縫い目から向こうが透けて見えるくらいだ。ちょうど8月の暑い時期に着けまわしてみたが、見た目どおり抜群の通気性で、夏はもうこれ以外ありえないという結論に達した。

薄型ケースの手巻き式時計とも相性はよい。ドレスウォッチなので、本来はクロコ革の極薄ベルトあたりを着けるのがセオリーだが、あいにく爬虫類柄は好みでない。そもそもユニクロや無印良品主体のカジュアルファッションにエキゾチックレザーは似合わないし、格が違いすぎる。

9月に入って別の厚手ベルトに取り替えてみたが、しっくりこなくてパーロン素材に戻してしまった。真冬にエスパドリーユを履くような場違い感はあるが、ひと夏、裸族の村で過ごしたら、もうパンツは履けない。

偽ダニエル誕生

そんなわけで、パーロンストラップを合わせたセイコーSCVL001はマル・デ・タコいやダニエルウェリントン。インデックスの秒表示がない分、さらにシンプルさを究めている。電車や打合せ先で、まじまじと時計を眺められたとしても、十中八九ダニエルだと思われるだろう。

中身はクレイグでもウェリントンでもない偽ボンド…マニュファクチュールなセイコーが世界に誇る薄型ムーブメント68系キャリバーを搭載しているので、ちまたのひっくり返ったDWより実は10倍くらい高い。

そのへんは侘び寂びというか、007のスパイ道具らしい隠し機能だ。ときおりベルトを外してシースルーバックを眺めては、ひとりでニタニタしている。

ナイロンベルトをカットする

購入したパーロンベルトは若干長さがあり、NATOタイプほどではないが、折り返して手首に沿わせる必要があった。

もとが極薄なので二重になっても大差はないが、せっかくならぎりぎりまで切り詰めてさらに軽量化、通気性アップしたい。

とりあえず見当をつけてハサミで切ってみたが、案の定端部がほつれてパラパラとゴミが出てくる。手ぬぐいのように、放っておけば繊維が引き締まって収束する感じでもない。

反対側の端部を見ると、なにか接着剤を塗りたくったか、ゴム引きされたかのような加工がなされている。似たような感じでスムーズに仕上げたいのだが、ナイロンストラップの端部処理として、思いつきで熱処理してみることにした。

はんだごてで熱融着できた

使った道具はどこにでもあるはんだごて。適度に熱して端部に当てると、おもしろいようにナイロン素材が溶けてじゅくじゅくしてきた。当然ゴムの焼ける臭いというか、有毒そうなガスが発生するので、盛大に換気した方がよい。

自然に冷ましてから加工部を観察してみると、まさに狙ったとおり溶けた部分が固まってしっかり固定されていた。既製品の先端部も見た目は同じなので、接着剤も使わず熱処理して済ませているのだろう。

ベルトのサイズがジャストになったので、もはや遊環も必要なくなり外してしまった。パーロンストラップ用の尾錠は、つく棒を通した先を挟み込む仕様になっている。そのため、1cm程度余るくらいであれば、遊輪なしに端部を手首に沿わせることが可能だ。

微々たる差だが、ナイロンベルトのフィット感を装着性がさらに向上できた。NATOストラップやその他のナイロンベルトが長くて持て余している人は、はんだごてで簡単に端部処理できるので、試してみてはいかがだろう。

火事になったりガスで気分悪くならないように、くれぐれも換気に注意して。

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