ミニマリストが選んだシンプルなデザイナーズ掛け時計ベスト5

どんなインテリアの部屋にも似合いそうな、シンプル系の掛け時計を選んでみた。

予算は1,000円から40,000円くらい。セイコーのデザイナーズ商品から無印良品の定番、そしてニトリの格安品まで、おすすめの時計を紹介したい。

セイコー×深澤直人のスタンダード

セイコーと深澤直人がコラボした、2007年発売の商品。10年後の2017年にはすでにグッドデザインのロングライフデザイン賞を受賞している。

もし金に糸目をつけないなら、選んでおいて間違いない製品だと思う。デザインもさることながら、電波修正機能付きのハイスペック。製造元はセイコーなので、アフターサービスもばっちり。一生飽きずに使える時計だ。

同じ価格帯でアルネ・ヤコブセンの掛け時計もシンプルだが、インデックスが白丸だったり針がスペード型だったりしてややクセがある。北欧テイストでない純日本風を選ぶなら、セイコーのスタンダードが候補に挙がる。

普段10万以上する高級腕時計を身に着けているなら、部屋の時計に3万くらいくらい投資しても悪くはない。人によっては腕に着ける時計よりも、自宅の掛け時計の方が接する時間の方が長いだろう。

細部へのこだわり

一見なんの変哲もないルックスだが、細部にこだわりが詰められている。後で紹介するプラスマイナスゼロの製品よりも、深澤直人らしいこだわりが表現されていると思う。

時針・分針の角の丸みと、ケース外周のエッジがいかにもこのデザイナー好みのR。目立たない部分だが、「見る人が見ればわかる」というディティールだ。

秒針のカウンターウェイトを省略するために、軽量なマグネシウム金属が使われている(業界初らしい)。文字盤のバーインデックスは微妙に肉盛り印刷されており、視認性を向上させている。

数字のない棒状時刻表示の掛け時計で、デザインがすぐれたものは案外少ない。セイコーの廉価製品や無印良品も、時間の読みやすさを重視して数字がプリントされている。

大きめの数字があると、どうしても公共機関や学校・職場で使われる業務用の時計を連想してしまう。家の中ではもっと素っ気ない見た目の方が、くつろげる人もいるかもしれない。

固すぎず柔らかすぎず、適度な張りをもった外観といえる。まさに深澤直人の著書『デザインの輪郭』で追及されている、環境への適合度(Fitness)を高めた結果だと思う。和室でも洋室でも、あらゆる日本の家屋に似合いそうな普遍的デザインに感じられる。

±0のウォールクロック

平たい文字盤に立体的なバーインデックスと太めの針を重ねた、きわめてミニマルな製品だ。風防と秒針を省いたスタイルは、BRAUNのBC06と似ている。

しかしプラスマイナスゼロの時計はすべての素材が同じ色。文字盤に落ちる陰影によってパターンを浮かび上がらせるという、心憎い仕掛けになっている。ブランドのロゴも小さくエンボス加工されているので、近寄って見ないと気づかないほど。

遠くから見た際の視認性は劣ると思うが、壁の色に合わせれば「いい意味で目立たない」。家の中では「なんとなく時間がわかればいい」という程度、インテリアとして掛け時計を選ぶなら、最有力の候補といえる。

同じ深澤直人デザインでも、セイコー製の電波時計と違って5千円台から手に入るリーズナブルな価格もいい。しかもスイープムーブメントの静音設計になっている。

金属素材のモデルもある

ひとつだけ欠点を挙げるとすれば、ちょっとデザインが行き過ぎに思えてしまう点だ。光の加減にもよるが、針やインデックスが太くて大げさに見えないこともない。

外観がちょっと女性的で柔らかすぎるきらいもある。なんとなく「男くささ」を狙ったインテリアや、金属質でクールな部屋には似合いそうにない。ユーモアがありすぎる感じだ。

最近、同シリーズに金・銀・銅箔張りの高級ラインが追加された。価格は3万近くするが、ソリッドな形状にゴージャスな素材感が加わって、まったく別物のプロダクトに化けている。

シルバーモデルをコンクリート打ち放しの壁に飾ったら、ものすごくはまりそうだ。文字盤にテクスチャーが加わって視認性はさらに落ちそうだが、オブジェとしての存在感は半端でない。

無印良品の掛け時計

シンプルテイストの掛け時計として避けて通れないのは無印良品。鳩時計は除外するとして、「駅の時計」「公園の時計」「アナログ時計」は完成度の高いロングセラーだ。

「駅の時計」は発売時から気に入って長年使っていた。独特なフォントで表現された3・6・9・12の文字と、その間の棒状インデックスが絶妙なバランスだ。

長方形のボディーで文字盤に余白が多く、微妙な「抜け感」が表現されている。家に置く時計としてはこれで十分。グッドデザイン賞こそ受賞していないが、隠れたロングライフデザインといえる。

ちなみにこちらは浜松町のモノレール駅で見かけた、本物の「駅の時計」。

浜松町モノレール駅の時計

実際には数字が大きくて、無印の中では「公園の時計」に近いように思われる。針も長方形で太い。

種類豊富なアナログ時計

丸型の「アナログ時計」は、セイコーが出しているオフィスタイプの掛け時計シリーズとよく似ている。

数字がやや横長なのが特徴で、プリントでなく立体的に加工されている。視認性も高く、実用性は間違いないだろう。

2019年12月現在の価格は、直径264mmの大サイズでも税込3,990円。先に紹介したセイコー・スタンダードが高すぎると思う人にはぴったりだ。インデックスに数字がある以外、雰囲気はかなり似ている。

同じシリーズでスタンド付きの小サイズと、目覚まし時計も販売されている。防水型のバスクロックも、よく見ると数字は同じフォント。現在の無印でもっともバリエーションの多い主力製品といえる。

人とかぶるのが難点

無印良品の欠点は、あまりにもコスパがよく普及しすぎたため「他人とかぶりまくる」こと。ブランドロゴは表に出ないが、見る人が見ればたいていの製品は無印とわかってしまう。

そのため多様性や独自性を追求するクリエイター気質の人は、「無印より良いものはないか」と他を探すことになる。掛け時計に関しては、上記のセイコー・スタンダードやプラスマイナスゼロを選べば、似たようなテイストで満足できるかもしれない。

一方、歳をとってこだわりがなくなると、「別にもう無印でよいか」という気になってくる。家具や雑貨は無印良品を選べばまず間違いなく、インテリアの統一感も保たれる。いろいろ探してもやはり無印が無難で、さらに安くてお買い得というパターンが増える。

ダサくなく尖りすぎず、バランスの取れたソリューション。決してベストではないが、9割満足できるベターな選択肢。それが無印良品の持ち味だ。

100均、イケア、ニトリ

さらに安い価格帯で探すなら、100均ショップで掛け時計も売られている。しかし部屋に飾る時計がダイソーやセリアだと、さすがに心寂しい。デザイン的にも「もう一声」という惜しいものが多い。

100均以上、無印未満で候補に挙がるのはイケアの時計だ。こちらは999円から手に入るが、残念ながらスウォッチと似た感じで「やりすぎ」のデザインが多い。20個くらいあるバリエーションの中で、ミニマリストが許せるのはせいぜいTJALLA(シャッラ)くらいだろう。

そこで注目したいのがニトリ。イケアと同じ千円くらいの価格帯で、もっと日本人好みのシンプルな掛け時計が手に入る。

ニトリの掛け時計

イメージ的にはセイコーと無印良品を足して2で割った感じ。数字フォントは大小・太さがさまざまで、文字盤とケースの材質違いがそろっている。特にダイヤルも外枠も白黒でなく、すべて木目調という組み合わせ(上記写真のD-5)はめずらしい。

可もなく不可もなく安い

よく見ると外枠が妙にぶ厚かったり、サイズが大きめで野暮ったい感じがしないでもない。それでもこの価格帯で手に入る商品としては、デザイン的に及第点だと思う。

賢明なことに、いずれの製品も文字盤にニトリのロゴは入っていない。「無印かと思ったらニトリだった」という話のネタにも使える。

無印良品よりさらに匿名性の強いデザインで、今ならまだ人とかぶるおそれも少ない。そして値段は約三分の一。

この時計はユニクロと同じコンセプト。「おしゃれに見えなくていいけど、着ていて恥ずかしくない」という消費者心理をするどく見抜いている。

ニトリのほかにも、カインズホームやジョイフル本田のオリジナル商品は、いい線を行っているものが増えてきた。

今どき郊外ホームセンターはグッドデザインの宝庫。都心のセレクトショップを訪ねる前に、だまされたと思って一度チェックしてみたらどうだろう。

エンペックスの温湿度計付き

シンプル掛け時計のカテゴリーからやや外れるが、EMPEXの温湿度計付き時計も取り上げてみたい。

自分の部屋には温度計と湿度計をそなえて、室内環境をモニタリングしている。体感度合いから温湿度を推測できる勘を養っておきたいからだ。加湿器を使ったり、エアコンで除湿するタイミングをはかる目安にもなる。

シンワの温湿度計

今はホームセンターで買ったシンワの小型温湿度計を使っている。これが時計と合体できれば、場所を取らずにスマートだ。

デザイナーズの温湿度計といえば、バリゴあたりが有名どころ。しかし値段が高いうえに厚みがあって場所を取る。重厚なケースは吊るすのが大変で、上にほこりも積もりそうだ。

全部乗せの掛け時計

温湿度計の付いた掛け時計を探したところ、エンペックスの製品が意外と使えそうに見えた。

数字やロゴは小さめで、文字盤上の温湿度表示もさりげない。クロノグラフのように目盛りが多い外観は、コックピットの計器のようで男心をくすぐる。スーパーEXシリーズの高精度センサーだと定価1万はするが、通常グレードなら電波機能付きでも価格はリーズナブル。

自分のように温湿度計が手放せない人には、オールインワンで合理的な選択肢といえる。エンペックスの製品は、実用性・デザイン性・価格の条件をバランスよく満たしている。

その他のシンプル掛け時計

ほかにもデザイナーズの掛け時計をネットで検索すれば、Lemnos、KATOMOKU、HIPPIH、PFLifeなど、いろいろなブランドが出てくる。

セイコーや無印のコピー商品だったり、ユンハンスのマックス・ビル風だったり、バリエーションもさまざまだ。

どんな部屋に置いても不自然でない、シンプルなの掛け時計の需要が増えているのだろう。選択肢は多いので、とことん調べて趣味に合う一品を選べばいいと思う。

自宅でなくオフィス用に選ぶとか、そこまでのこだわりがなければニトリで十分な気もする。

掛け時計は隠せない

いかに簡素なインテリアでも、ないと不便なものが3つある。「掛け時計、ゴミ箱、ティッシュ」の3つだ。

ミニマリストに嫌われがちなこれらの雑貨の中で、機能上、絶対に隠すことができないのが掛け時計。さりげなく目立たないように工夫するとしても、遠くから時刻が読み取れなければ置く意味がない。

毎日頻繁に目を合わせるという意味においても、空間の印象を左右する重要なオブジェといえる。一度買うと相当長持ちしてしまうので、なかなか購入に踏み切れなかった。

これらの製品を調べながら5年ほど悩んで、最近BRAUNのBC06という掛け時計を買った。

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