ロマサガRSを半年でやめた理由。ゲーム依存症の克服と新たな課題

年明けからはまったロマサガRSを起動しなくなって2か月経つ。ゲーム断ちなど一時的な気まぐれで、またすぐやり始めるかと思ったが案外そうでもなかった。

アプリ自体はアンインストールしていないので、手元のスマホからはすぐに立ち上げられる状態。しかしどれほど暇でも、たとえ酒に酔った状態でさえも、またプレイしたいと思うことはない。

あれほど毎日画面をタップしていた強迫的な渇望のようなものは、どこに行ってしまったのだろう。ゲーム依存症とはアルコールや薬物のたぐいとは違って、短期間で完治できるものなのかもしれない。

2か月前を振り返って、ロマサガRSを卒業するにいたった原因を考えてみようと思う。ソシャゲ依存らしきものを克服した患者の感想のようなものだ。

まさに今ゲームにはまって絶賛課金中という人には、クソの役にも立たないだろう。何か熱中できる対象があるということは、それはそれで幸せなことだと思う。

しかし何かのきっかけでゲームをやめたいと思っている人がいるとしたら、ミジンコの糞くらいは参考になるかもしれない。

ペット捕獲イベントで挫折

ロマサガRSが嫌になった直接の原因は、6/21に開始された「ペット捕獲大作戦」というイベントだ。正月の餅集めからして、季節ごとのイベントミッションは達成条件がきついと感じていたが、今回のは段違いの難易度だった。

ロマサガRS、ペット捕獲イベント

「頭を使う」という意味の難しさはないが、メダルのドロップ率と報酬交換の必要量、およびイベント開催期間というパラメーターの組み合わせが狂っていた。期間中にすべての報酬アイテムをゲットするには、一日中スマホにかじりついてプレイしないと間に合わないほどだ。

いかに強力なパーティーを育てていたとしても、自力で何とかできるのはバトル時間を短縮して周回効率を増すことだけ。ドロップ率は一定なので、どれほど廃課金している猛者(亡者)でもコンプリートまで数十時間は要するように思われた。

どんなくだらないミッションでも、課題を出されると全クリアしたくなるのが、RSプレーヤーのサガ。せいぜい報酬はオーラムやスタミナ回復剤であっても、期間中に全部集めなければ損した気分になる。

ロマサガRS、ミッションクリア

そう思って半年間、毎日数時間プレイしてデイリー、ウィークリー、イベントごとミッションを律儀にこなしてきた。しかし6月末の教授イベントだけはどう考えても無理だった。(※実はその後、救済措置としてイベント開催期間が延長されたらしい)

オート周回でもきつい

他のソシャゲはプレイしたことがないので比較できない。ロマサガRSの特徴は、キャラ育成に要するバトル回数が尋常でないという点だ。イベントごとに何百回にもおよぶ周回バトルは、ほとほと面倒くさすぎる。

かろうじてオートで戦闘をこなせる機能は実装されている。しかしバトル終了後に「再戦」ボタンを押す部分までは自動化されていない。ゲームバランスを保つ理由か、ユーザーをクリック依存状態にさせるためか、目的は不明だが作為的な仕様であることは明らかだ。

ロマサガRSの再戦ボタン

代わりにスマホをPCとつないで、マクロや自動クリックツールを駆使する手段もある。しかしそのようなチート技は規約上グレーなので、アカウント停止のリスクは免れられない。実際5月にはマクロ使用者がBANされたという噂も流れていた。

たとえ外部ツールを使ったとしても、ゲーム中に電話やPCが使えないというのは不便きわまりない。自動周回のためにスマホを持って外出できないというジレンマに陥る。端末を何台も保持している富裕層や廃人でもない限り、これは現実的な解決策でない。

キャラが強くなりすぎた

仮に周回バトルがむなしくなったとしても、ソシャゲには「ガチャ」という強力な娯楽が存在する。無課金プレーヤーでも毎日コツコツ修行していれば、たまに10連回せるくらいの無料ジュエルをもらえる。

常設・限定ガチャの報酬を見極めて、慎重にジュエルを投資するというのはなかなかスリリングなゲームだ。もう少し待てばもっといいキャラが出てくるかもしれないし、今のうちにフェス限定スタイルを押さえておかないと後で後悔するかもしれない。

そしてこの6月はハーフアニバーサリー関連で、魅力的なガチャが一挙に出てきた。ソシャゲの世界においては、かつて取りこぼした有能キャラも復刻されることがあると知った。

実際のところ、復刻ガチャのSS白薔薇姫以外は獲得不要だったと思う。アザミやキャットの限定Sスタイルを手に入れるのは、一軍キャラに技を継承させたいという理由だけ。もうキャラが育ちすぎて他にすることがないので、技継承をもてあそぶのは余興という感じ。

ロマサガRS、クリスマス限定キャットS

連日の連戦によって、一軍パーティーのHPや能力値、各スキルのレベルもほぼ上限に達している。新たに獲得した強キャラを順次追加して育成していく日々。次第に将来のSSスタイル追加を期待して、どうでもいいSキャラやAキャラまで育てる羽目になる。

ほんのわずかの戦力向上を目的に、技の継承目当てで下位スタイルをガチャで狙うというのはジュエルの無駄遣いに思われる。復刻ガチャのラインアップを目の当たりにして、重箱の隅をつつくような虚しさを覚えた。

ガチャを天井まで回す経験

そしてSS復刻と同時に出てきた白薔薇姫のSスタイル。目立ったスキルも回復技もないので、ゲームの攻略上はまったく必要ない。

しかしSS白薔薇は一軍入り確定だから、技のバリエーションを増やすという意味で手に入れておく価値はある。いずれまたパーティーが強くなりすぎて暇になったときに備え、前もってやることを準備するような感じだ。ここまでくると、自分で自分を飽きさせない工夫に頭を使う。

優先度は低いがジュエルは大量にあったので、アニバーサリー第2弾のアセルスガチャに挑戦してみた。当たりと思われるSSアセルスはすぐ手に入ったのだが、なぜか白薔薇Sはなかなか出てこない。途中で悩んだが結局天井の10連×9回まで回して、皮肉にもラストで獲得できた。

ロマサガRS、白薔薇S交換

一度ガチャを天井(無条件でキャラが手に入る救済措置)まで回すと、何とも言えない徒労感が味わえる。念願のSSキャラならまだしも、それが余興のためSスタイルだったりするといたたまれない。Sキャラのイラストはなんか顔も暗いし…

ロマサガRS、白薔薇姫S

半年集めたジュエル貯金にそこまで毀損は生じないが、ガチャの景品と排出率のバランスは際どく設定されているという現実を思い知った。ビギナーズラックも、そう長くは続かなかったようだ。ガチャを回せば回すほど当たりが出なくなるという傾向は、単なる偶然だろうか。

SSキャラが増えすぎた

イベントガチャや毎月の螺旋ガチャを回していると、それなりの頻度で予期せぬSSキャラが副産物として手に入る。ゲーム序盤は平凡なシャールでもトーマスでも、SSというだけでありがたかった。

SSの基本的な能力値は他のS~Aより優位に設定されている。たとえスキルやアビリティーが使えなくても、序盤~中盤では立派な戦力になる。しかし終盤の高難易度クエストに入ると、SSキャラの中でも使える・使えないという格差が出てくる。

手持ちの駒の中で、リセマラ初期から現役なのはカタリナSSくらい。後から加わったキャットやアザミのSSも比較的戦力になる。Very Hardの終盤では敵属性に合わせてアタッカーを選ぶ必要があるので、打・突・斬とバランスよく2~3体攻撃役を育てておくのが攻略の定石だ。

しかしSSキャラが10体以上になると、「中途半端なSSはもういらない」という満足感が出てくる。下手な新キャラが出るよりは、既存キャラがかぶってピースに変換できた方がうれしい。

復刻ガチャのついでに、ようやくブルーやアルベルトというましなSSも手に入ったが、ゲーム初期の頃のような感動はなかった。ひょっこりSSバーバラが出て大喜びしていた2月の頃が懐かしい。

ロマサガRS、アルベルトSS

新たに入手したSSキャラを一から育成するのは骨が折れる。たとえ下位スタイルを遠征や武闘会で限界まで鍛えていたとしても、日ごろこなしている高難易度クエストには力不足。さらに何百回も周回バトルをこなして、能力値を底上げする必要が出てくる。

「かつてあれほど待ち望んだSSキャラを手に入れてもうれしくない」という事実が、ロマサガRSに対する熱意を冷ます一因になった。開発者が想定したゲームバランスに対して、自分のプレイ時間が長すぎたのだろう。

要するに「ゲームをやり込み過ぎて、やることがなくなった」だけかもしれない。一切お金を払わないで(その代り多大な時間を費やして)半年間も楽しめたとはいえ、永遠に飽きないゲームなど存在しないのだ。

ログインボーナスを逃した

たとえ1日でもゲームを立ち上げないと、ログインボーナスがもらえずデイリーミッションも取りこぼすことになる。

半年間毎日、旅先でも入院中でも欠かさずログインしていたが、一度サボってしまうともうやる気がなくなる。そういう完璧主義の裏返しとして、ケチのついたアカウントにはもう触れたくないという気持ちが出てくる。

自動回復したスタミナは無駄なく活用し、どんな過酷なミッションでも全クリアを目指すという勤勉さは、プロテスタンティズムの倫理によって支えられている。「労働こそが自由への道」という間違った信念に従い、しかもその対象が仕事でなくソシャゲに捧げられてしまっていることが哀しい。

ガチャの射幸性で病みつきになる人もいれば、ミッション達成をほめられることで脳内報酬系が活性化される人もいるのだろう。フェティッシュの対象は違っても、依存状態に陥るメカニズムは同じ。行為依存は買物でも株取引でもプロセスを選ばない。15年前の名著『負け犬の遠吠え』にも「依存に貴賎なし」という名言がある。

ロマサガRS、ログインボーナス画面

模範的ユーザーとしては、一度ログインを逃してしまうと起動時に出てくるモニカ嬢に合わせる顔がない。このプレッシャーから逃れるには、ゲーム自体がなかったことにする(二度とログインしない)という安易な解決策がある。そして意外なことに、この逃避的行為がゲーム中毒から脱出するためのモチベーションになる。

ゲームに脳内リソースを奪われる

机の脇にスマホを置いて、画面上に変化がなくなったら下の方にある再戦ボタンを押す。技のエフェクトがまぶしいので画面上部はハンカチで覆って、下の再戦ボタンだけ出現したら押せるように工夫する。

そんな感じで半年間、視界の端には常にゲームを起動したスマホが置いてあった。たとえ無課金とはいえ「いい大人が毎日ゲームばかりしていいのか…」と、ソシャゲに熱中しながらも心の中では根本的な虚無感を覚えていた。

ロマサガRSは「ながらプレイ」が可能なので、ゲームしながら別の作業をすることもできる。数分おきに再戦ボタンが出たら繰り返し押せばよいだけだ。慣れればほとんど無意識に手を伸ばせる。しかし脳内のワーキングメモリや情報処理回路の一部は、常にスマホに占有された状態になる。

ゲームさえやめればもっと作業効率が増して、外に出たり仕事をしたり、自由で健康になれるのではないかと夢見ていた。心の底ではソシャゲから解放されることをひそかに願っていたといえる。

他にもロマサガRSに関しては、原作とキャラのイメージが違いすぎる、季節イベントのシナリオがおちょくりすぎ、ワグナスが怖すぎる…といった不満な点は多々あった。

ロマサガRSのワグナス襲来

奇しくも入院して手術の日が七英雄襲来イベントと重なったため、夜中に麻酔が切れて吐きそうになりながら血みどろのワグナスと闘い続けた。思い出すのもつらい体験だ。

ギルド実装までもたなかった

ロマサガRSは一般的にソーシャルゲームに分類されつつも、SNS的なコミュニケーション要素はない。メニュー画面ではそれらしき「ギルド」という機能が用意されているが、中身は準備中。完全にスタンドアローンで楽しむゲームだ。

その代わり、ウェブ上の攻略サイトや掲示板がユーザー同士の交流を支えるプラットフォームになっている。スクエニの公式アカウントでは新要素のアナウンス程度だが、これらの非公式サイトでチャット的な会話を楽しむことができる。コメントしている人たちは相当レベルが高いので、外から眺めているだけでも参考になる。

新しいガチャやキャラを分析して、ジュエルを投資すべきか議論するのはそれなりに楽しい。しかし、ユーザー同士で直接戦ったり共闘したりする楽しみには及ばない。

対戦要素がないと続かない

過去数年に自分がはまったゲームといえば、Battle FieldのマルチプレイヤーやポケモンGOなど。BFは仮想空間内で繰り広げる集団対戦ゲームであり、ポケGOも初期からジムバトルという対戦システムが用意されていた。実力の近い他ユーザーとの接戦は、手に汗握る興奮を味わえる。

現状でこうした対戦要素のないロマサガRSは、さながら90年代のドラクエIIIのようだ。ゲーム自体は一人用のRPGだが、友達とオフラインで攻略情報を共有しながらプレイするおもしろさがあった。

もしロマサガRSも当時のドラクエと同じくらい社会現象化するほど流行っていれば、もう少し長く遊べたと思う。この半年間、わりと年齢の近い知り合いにゲームの話題を振ってみたが、他に遊んでいる人はひとりもいなかった。

5歳くらい若い世代だと、FGOやグラブルという先行した有名ゲームで間に合っている。昔スーファミでロマサガシリーズをプレイした経験がない年齢層が、あえてこれのソシャゲ版で遊ぶ理由はないと思う。キャラやストーリーのネタも、基本的に旧作の懐かしさを売りにしている。

ソシャゲ卒業後の世界

過去にさんざんアクセスしたゲームの攻略サイトや掲示板は、今でもスマホのChromeブラウザにレコメンドされてくる。たまに開いてみると、水着ガチャや聖石集めといった楽しげな新イベントも登場したようだ。

新キャラの性能(外見でなく)を見て「おっ!」と鼻の下が伸びることもある。しかしよく見ると、ゲームバランスを崩さないよう配慮されているのか、相変わらず能力は既存キャラと似たり寄ったり。再びアプリを立ち上げる動機づけにはならなかった。

ソシャゲをやめたおかげで、期待通り外出したり他にやりたいことに時間をさけるようになった。今となってはゲーム依存症だったのかどうかもはっきりしないが、いつの間にか問題はあっけなく解消された。

生活上のストレスが減ったとか、早寝早起きして規則正しい健康な生活になったとか、そういう変化は見られない。残念ながら(当然ながら)、ゲームさえやめればすべて解決するというわけではなさそうだ。

依存対象が他に移っただけ

ロマサガRSを卒業した後は、別の趣味であるガジェット研究に没頭するようになった。そして皮肉なことに、ソシャゲに課金するよりかえって支出が増えた。

どうも自分は常に何かに依存していないと気がおさまらないらしい。依存対象がアニメやゲームであるよりも、仕事やスポーツであればまだまし(他人に説明しやすい)という程度の違い。本質的にナチュラルボーンオタクなのだ。

無理やり一般化すれば、80年もある長い人生の暇つぶしとして、人は誰しも何かに依存しながら生きている。その対象が仕事や子育てであれば、現代社会において相対的に正常とみなされるだけのこと。他人に迷惑をかけずちゃんと納税していれば、何に熱中しようと文句を言われる筋合いはない。

廃課金のソシャゲユーザーですら、そのへんを徘徊している老人などより内需拡大に寄与している。サービス提供会社の社員や株主は彼らのおかげでメシが食えて、われわれ無課金勢も恩恵にあずかれるというわけだ。

エコシステムの中では、逆説的にどんな負け犬や豚野郎にも存在意義が認められる。

そう、契約で結ばれてはいないにしろ、どんなエコロジーにもすき間(ニッチ)は必要だ。馬は魚を必要とするか? イエス。

ベガーズ・イン・スペイン』 ナンシー・クレス

そして自分のような無課金フリーライダーもウジのように湧いてくる。胸を張って言えることではないが、これほど楽しい時間を過ごさせてもらったロマサガRSには感謝している。3年前にポケモンGOが出たとき以来の大興奮を味あわせてもらった。

ソシャゲにはまる方がマシ?

酒やギャンブルに依存するよりは、ソシャゲに没頭する方がまだ健全な気もする。借金さえしなければ、この手の依存症は外にもばれにくい。「たいしてお金をかけずに遊べる」という点において、オンラインゲームは非常に効率のよいサービスといえる。

ロマサガでピンとくるアラフォー世代なら、子供の頃かのビックリマンチョコに散財した経験があるはず。その後に登場したカードダスという純粋課金マシーンに比べれば、ソシャゲガチャの高額課金問題などお遊びのようなものだ。

いみじくも『進撃の巨人』69話で悪漢ケニー・アッカーマンが辞世の句を述べているように、

みんな何かに酔っ払ってねぇと…やってらんなかったんだな…

これと同じく、『星の王子さま』に出てくる以下のセリフは人類三大名言のひとつに加えてもいいと思う。依存状態に陥った人間の心理を的確にあらわしている。

「酒を飲むのが恥ずかしいから飲むんだよ」と酒飲みは言いました。

「大人ってへんだな」と星の王子さまは思いました。

ゲームの代わりに買物依存症になって自分の首を締めるよりは、つつましくスマホの画面でもこすっていた方がマシではないか。大人のたしなみとして、それほど害のない依存対象を見つけて自分を適度な中毒状態に飼いならしておくことは、むしろ推奨すべきことなのかもしれない。

老境にいたってパチンコや競馬など本格的なギャンブルにはまるよりは、ソシャゲに精を出した方が健全な気もする。どちらにしても、溜め込んだ貯金を老後に放出して経済活性化に役立ててくれた方が、若い世代からすればありがたい。