ガス式より燃料代が圧倒的に安い石油式給湯器。試行錯誤の末、稼働成功

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野ざらしのキャンプに近い田舎暮らしで、最優先は「水と食料の確保」、次は「暖かい寝床の確保」である。この2つが満たされれば、最低限なんとか生きていけそそうに思う。欲を言えばたまには風呂に入りたい。いやシャワーだけでもよいから体を洗ってさっぱりしたい。しかし真冬に冷水を浴びるくらいなら風呂など入らない方がましだ。

そんなことを考えていたら、運よくシャワーを借りられることになった。よく見ると備え付けたばかりの新品のシャワーで、自宅よりずっと広くてきれいだ。ただ問題は、なにやら灯油で湯を沸かすらしく、使い方がさっぱりわからない。

石油式給湯器はノーリツの最新型OQB-370Y

屋外に出ている装置の型番を調べると、ノーリツのOQB-370Yという機種だった。どうやら今年出た最新版で、業界最小・最軽量・高効率の優れものらしい。

石油ストーブのように、そんなに複雑な仕組みではないだろうと思って適当にタンクに灯油を注いでコンセントにコードを差し電源を入れたが、一向にお湯が出てこない。何度やり直しても、警告っぽいブザー音とエラーのような表示が出るだけ。何やら遭難して缶詰が開けられずに餓死するような、不幸な気分になってきた。

しぶしぶノーリツのウェブサイトから説明書をダウンロードして、対策を調べてみる。まずオイルタンク下の送油管とバルブをチェック。90度回転するレバーがあり、どちらが開きで閉める方なのかわからない不親切なユーザインタフェースだが、とりあえず初期状態の逆にしたら何となくタンク内の灯油がゴボゴボいったので、これで燃料供給はうまくいったかと思う。

お湯が出ないのは単純に灯油のバルブが開いていなかったのが原因だったようで、栓を開けたらお湯は出た。

水もお湯も出てくる勢いが弱い

次に直面した問題は、お湯は出るものの非常に微量でちょろちょろとしか出ない。我慢すればこのままシャワーを浴びることもできそうに見えたので服を脱いで入ってみたが、やはり出るお湯が少なすぎてかえって体が冷えてしまいそうだ。退散してもう一度外の装置を点検する。

現象としてはお湯だけでなく水も少量しか出ないので、どこかで栓が詰まっている気がする。説明書のトラブルシューティングに従い、水抜き栓を外してフィルターにゴミが溜まっていないか確認したが、特に問題はなかった。下側のフィルターがない方の水抜き栓も回してみるが、こちらは単に栓から水が排出されるだけで関係なさそうだ。

何本かあるパイプの途中に給水元栓という部品があり、これも送油バルブと一緒でどちらが開/閉かわからない。先ほど送油管を開けた際に一緒に回しておいたが、限界まで緩めても水量は変わらないので、ここも原因ではなさそうだ。となるとほかにいじれるところはなさそうなので、装置自体の故障、あるいは水道管が詰まっているとか凍っているとか別の原因を推測するしかない。

直圧式と減圧式の違い

部屋に戻ってネットで調べると、ボイラーには直圧式と減圧式の違いがあり、基本的には水道直圧式の方が水圧もあって燃費もいいが、水道管が古いと破裂したり、湯量の微調整が効かなかったりするデメリットもあるらしい。

もしこれが減圧式で施工されていて能力の限界だとしたら、設計ミスとしか思えない。いや、田舎で水と燃料を節約して暮らすには、これが標準の湯量なのだろうか。山でちょろちょろ流れている湧き水より渋いくらいだが…。原理はどうでもいいから、早く暖かいシャワーを浴びたい。

凍結防止で水道の元栓が閉まっていた

工事を担当した人が村にいるらしいので様子を見てもらった。マニュアル通りに設定はできていて、水が勢いよく出ないのはやはりおかしいとのことだった。いろいろ原因を探るうちに、怪しいと踏んでいた中庭の蓋を点検したら、中にバルブが入っていた。

これを2つ空けて緩めるとやっと水もお湯が勢いよく出てきた。どうやら冬季の凍結防止用に、水道の元栓が閉めてあったようだ。

まだ夜間氷点下ではないが、これからの時期は毎晩水抜きしておくくらいでないと、水が凍って水道管が破裂する恐れがあるらしい。寒い夜に外に出て水抜きするのは非常に面倒だが、薪で火を起こすよりはましか。便利な化石燃料ばんざい。

プロパンガスより圧倒的に安く済む灯油の給湯器

集合住宅で給湯器といえばガス式しか使ったことがなかったが、田舎でもこうして灯油され手に入れば湯を沸かせるとわかった。一説には灯油だとガスより20~50%くらいの燃料代で済むらしい。特に東京でも微妙な郊外では標準装備のプロパンガスは都市ガスより割高なので、屋外に燃料タンクの設置スペースがあれば石油給湯器を選ぶのもありだ。冬に家で石油ストーブを使っていれば、灯油は共有できるので問題ないだろう。

田舎で暮らしたいがプロパンガスが割高で悔しいと常々考えていたので、灯油で湯を沸かす選択肢があるとは新しい発見であった。