スリムで収納しやすいシマノ純正クリートカバーSM-SH45レビュー

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遠征先にうっかりクリートカバーを忘れてきてしまった。先日のパンクトラブルで長時間ビンディングシューズで歩く羽目になり、カバーの必要性を痛感した。新たにSM-SH45という製品を取り寄せたのでレビューしてみたい。

さすがシマノ純正品、同社のクリートSM-SH10との相性はばっちりだった。しかも絶妙に計算された細身のサイズになっているので、サドルバッグやツールボトルにも収納しやすい。これまで試した中ではベストなクリートカバーだった。

SM-SH45が適合するクリート

ゴム製のクリートカバーはPWDの製品を持っていたが、幅広なのでツールボトルに収まらないのが悩みだった。携帯する場合はジャージのポケットに入れるか、サドルマウントのアームの間に挟むくらいしかない。

その点、シマノ純正のクリートカバーは細身で持ち運びに便利そうに見えた。それほど高いものではないので、比較のために買い足してみた。

SHIMANO SM-SH45

付属の説明書を見ると「使用可能なクリートの種類」として、SM-SH10(黄色)とSM-SH11(赤色)が挙げられている。SM-SH12(青色)はなぜか対象となっていない。

SM-SH45の説明書

シマノのSPD-SL用クリートは3種類存在して、ゴムパーツの色が黄色→青色→赤色の順にフローティング角度がタイトになる。ただし赤と青の先端幅は1mmも違わない。中間サイズの青クリートに対しては、問題なく使えるということだろう。

クリートカバーの使い方

説明書の装着方法によると、先につま先側を引っ掛けてからかかと側のゴム突起を押し込む。かなりきつめのフィット感だったので、立ったまま片足立ち・片手で装着するのは無理だ。転ばないように座って作業する必要がある。

裏面のトレッドパターンは独特の形状になっていて、水はけやグリップ性はよさそうだ。シューズにはめてみると、クリート外側後方の色付きゴム突起はカバーされないサイズになっている。

シマノSM-SH45のトレッド面

ただし横から見るとクリートカバーの厚みは相当ある。クリート本体のゴムが地面に接することはなさそうだ。

シマノSM-SH45の側面

PWDのクリートカバーより厚みがあるのは、クリートのゴム突起を接地させないためなのだろう。他社製品よりスリムな構造だが、カバーの厚みがショックを吸収してくれるのか、歩行は快適になった。クリートにも強固に固定されるので(その分、着脱には時間がかかる)、歩く際の不安もない。

期待どおり、幅が狭いおかげで手持ちのツールボトルに問題なく収納できた。どちらかというと非常用の装備なので、バンク修理キットと同じ場所に入れておくと安心できる。

ツールボトルの中身

ビンディングシューズでの歩き方

クリートカバーはシューズの前側、クリートの出っ張っている最小限の部分しか保護してくれない。そのため、かかと側はシューズ本体で支えることになる。

酷使してきたせいで、ソールのゴムがすり減ってプラスチックの部分まで削れてきてしまった。ビンディングシューズの修理やソールの貼り換えサービスは聞いたことがない。

シマノSM-SH45の装着状態

ソールを保護するなら、クリートカバーを付けてつま先立ちする必要がある。ペダルを回すときと同様に、母指球のあたりに体重を乗せる感覚だ。ただしこの状態で何キロも歩くのは難しい。坂道やウェットな路面では、やはりかかとも地面に着けないと不安定だ。

そう考えると、クリートカバーはあくまでテンポラリーな使用を前提としているように思われる。ツーリング中にコンビニやレストラン、道の駅や観光施設に寄るようなシチュエーションだろう。

自転車で峠に上って、ビンディングシューズのまま登山することはできない。逆にトイレに立ち寄る程度なら、わざわざクリートカバーをつける必要はないだろう。クリート本体とシューズのゴムで最低限はグリップしてくれる。

クリートカバーの使いどころ

経験上、クリートカバーが威力を発揮するのは、トラブルでバイクに乗れなくなり長時間歩く場合だ。

山の中でタイヤがバーストしてしまって、最寄りの集落やバス停・駅まで数キロ歩かざるを得ないがある。こういうときにカバーがあれば、普通の靴とまではいかないが、歩きやすさがだいぶ変わってくる。そしてクリートが滑って転んでけがするような二次災害も防げる。

むき出しのビンディングシューズは思わぬところで滑る恐れがある。コンビニのタイル床など、見るからに危ないところは慎重に歩くのでそれほど危険はない。むしろ路上にあるマンホールやグレーチングなど、局所的な金属床の方が油断して滑りやすい。

地方の無人駅で線路を横断してプラットフォームを移動する際、レールの上でクリートが滑って転んだことがある。ビンディングシューズは接地面積が小さいので、思わぬところでスリップする。

やむを得ず長距離歩くことになった場合、クリートカバーを付ければこうした事故を未然に防げる。ツーリング中、特に機材トラブルの対応後は疲れているので、どうしても注意力が散漫になる。保険と思ってクリートカバーも携帯しておくのが安全だ。

シューズの保護より安全対策

そもそもクリート自体が千円程度で購入・交換できる安価なパーツなので、これを保護するのは二次的な目的に過ぎない。クリートカバーの役割とは、非常時に安全を確保することだと思う。

そう考えると、シマノはクリートとカバーをセットで販売してもよいのではないだろうか。同じメーカーの製品同士ということもあって、フィット感や安定感は抜群だった。

値段もたいして変わらないので、下手なサードパーティー製品に手を出すよりは、純正品を買い求めるのが得策といえる。