スタバの当たりレシートで高級リザーブをタダ飲み@ネイバーフッド

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その存在すら知らなかったスタバの「何でも1杯無料!当たりレシート」。運よく手に入れたタダ券をもとに、ハイエンド店舗ネイバーフッドで謎の高級豆コーヒーRESERVEを試してみた。

スタバのプリペイドカードが無料券に化けた

クリスマスパーティーのプレゼント交換でもらった、1,000円分のスターバックス、プリペイドカード。

敷居が高くて普段はめったに行かないスタバ。喫茶店といえば最安ラインのベローチェを愛用していたが、最近ではコンビニで100円ドリップコーヒーが飲めるようになったので、ますます足が遠のいていたところ。

高級店の雰囲気にそわそわしながらショートサイズのラテを注文。ちびちび飲んで3回目で使い終わったところ、レジの店員さんが「アンケートに答えてください」と、長いレシートを渡してよこした。「面倒なので、そういうのは結構です」とお断りしようとしたら、なんと特典として「無料でなんでも一杯飲める」らしい。瞬時にコスト計算して、特大ベンティサイズなら600円以上の価値。どんな困難なアンケートでも、喜んでご回答させていただきたい気分に変わった。

聞けばウェブで番号を入れて回答するとのこと。しかも店員さんに「めったに当たらないレシートなので、おめでとうございます」と言われた。後で調べたら1,000~2,000回に1回くらしか出ない確率らしく、よほど日ごろの行いがよかったのか、貧乏神が恵んでくださったのだろう。

ウェブのアンケートはあっさり終了

アンケートの方は、年齢・性別を選択してサービスや味を7段階評価する程度のいたって簡単な内容。

これだけの報酬をもらえるからには、ア・テスト(神奈川県限定?)くらいの分量を覚悟していたが、拍子抜けだった。最後に表示された番号をレシートにメモってミッション完了。

スタバの最高級カスタムドリンクを妄想

さて、せっかくの無料チケット、もちろん最高価格のスペシャルドリンクをあつらえるべく念入りにリサーチしたところ、無数にあるオプションを全部のせして1,000円以上のカスタムメニューを実現できるとわかった。

ベンティサイズにエスプレッソショット、シロップ、ホイップクリーム、ソース、チョコレートチップ全部追加とか。シロップだけでも、ヘーゼルナッツ・アーモンド・バニラ・キャラメル・モカ・ホワイトモカ・シナモンシュトロイゼル・チャイの8種類。もはやコーヒーに対する冒涜。写真を見ても全然うまそうに見えない、高カロリーなだけのゲテモノ飲料。

スタバのカスタムは昔、気取って「エスプレッソ追加」を頼んでみたことがあるくらいで、内容もわかっていないオプションをさらりと伝えられる自信がない。呪文のようなオーダー文言を生成できるアプリまであるようだが、スマホ画面やメモ用紙を見せて頼むのも気が引ける。

さらなる高級メニュー「リザーブ」

他の方向性を探ったところ、どうも「スターバックス リザーブ」という、さらにリッチなコーヒー豆を抽出する店舗限定メニューがあるらしい。中にはブルーマウンテンや、ゲイシャという正体不明な豆で2,000円もするドリンクも存在するとか。「貴族の王族珈琲」ほどではないが、帝国ホテルのコーヒーより高い。

取り扱いショップを探したら、Neighborhood and Coffee店はいずれも対応している。二子玉川や池尻に数年前から出現したInspired by Starbucksだが、最近名前が変わったようだ。ただでさえ高級なスタバがさらにグレードアップして、もはや店の前を通るにも目を合わせられないくらいの緊張感が伝わってくる。

だが値段が2倍もするということはなく、フードメニューが豊富でアルコールも出していたりするので、話のネタも兼ねて仕事の打合せで何度かお世話になっていた。

ネイバーフッド代沢5丁目店に潜入

満を持して向かったのは、代沢のネイバーフッドアンドコーヒー。二子玉川はまあわかるとしても、池尻とか下北沢の微妙な裏通りにあるNeighborhoodの立地は不思議だ。駅から歩くにはやや遠く、大通りの喧騒を避けて、世田谷区のセレブ住人がゆったりくつろげる空間を目指しているのかもしれない。

お店の外装を見ると、窓の下のコンクリートブロックが微妙にフランク・ロイド・ライト調。『ブレードランナー』の刑事の自宅ロケにも使われたエニス邸のものとそっくりだ。

エニス邸は現地に見に行ったこともあるが、高台からLAの町並みを見下ろす「ケーススタディハウス#22」のような豪邸で、独自のタイル模様は高級感を感じさせる手軽なアイコンとして機能している。

リザーブのコーヒー豆は厳選の2種類

どきどきしながら無料レシートを出すと、アルコール以外は対応OKとのこと。リザーブのメニューを見させてもらったが、ブルーマウンテンなどの最高級ラインは期間限定で終了していて、2種類しか選べなかった。しかも2日後には新メニューに入れ替わるとのことで、そちらも気になる。

だがチケットの有効期限もあるので、ここは高い方の「グアテマラ・エル・ソコロ・マラカトゥ(740円)」を注文。コーヒー1杯で、吉野家の「麦とろ御膳」大盛を生卵付きで食べられる値段だ。クローバーという特殊な機器で抽出する様子を見させてもらったが、上下する円筒状の豆の塊から高圧力で絞り出しているらしい。仕組みはよくわからないが、もったいぶった演出で出てくる希少なコーヒーに期待が高まる。

平日の夕方、ネイバーフッド店内の、作業しやすそうなテーブル席はほぼ満席。イメージ通りのMacBookが並ぶ中で、DellのマックもどきXPSを広げ、有線ゲーミングマウスを接続。店内では微妙にWiMAXが入らず残念だったが、オフラインで作業に集中できた。

心なしか他のお客さんもオシャレで大人しいお客さんが多く、大声でだべっていたりマナーの悪いグループもいない。値段相応に長居OKな雰囲気もあり、「落ち着いた作業スペースを確保できる」という意味では、リーズナブルな選択肢かもしれない。

遠い異国のグアテマラな香りが…

できあがった「グアテマラなんとか」は大きめのマグカップに入っていて、通常のトールサイズはありそう。まずはブラックで香りを楽しみ口に含むと、しっかりした濃い味で飲みごたえがある。一応調べたが、グアテマラとはメキシコの下らへんにある国らしい。

普段コーヒーは1日3杯くらい飲むが、あまり味にこだわりはなくスーパーの安いコナでOK。さすがに缶コーヒーやインスタントコーヒーとの違いはわかると思うが、適当にペーパードリップしてあれば豆の種類など皆目見当もつかない。

酸味が少ない方が好みなので、一時期マンデリンをお店で挽いてもらっていたこともあるが、コスパが見合わず続かなかった。なによりブラックだと胃が痛くなるので、半分くらい牛乳で割って飲む。カフェオレというかコーヒー牛乳レベルなので、豆は安ければ何でもいい。

グアテマラに敬意を表して、混ぜ物なしで数口含んでみたが、やはり胃にこたえるのでミルクを出してもらった。元が濃厚なので、カフェオレにしても、もちろんおいしい。

「スターバックス」の語源は世界十大小説

せっかくスタバでノートPCを広げたので、余談を一つ。Starbucksの名前の由来は、メルヴィルの『白鯨(Moby-Dick; or, The Whale)』に出てくる一等航海士Starbuckだ。

モビー・ディックと聞けば、『ワンピース』の白ひげ海賊団を思い出すかもしれない。旧約聖書の引用が多い小説だが、こちらも聖書なみにあちこちで引用されている。

スターバックの作中の扱いとしては、狂った船長に従うゴロツキ集団の中で、唯一正気を保っている最後の良心。常に冷静沈着、捕鯨の実力もあり、頼れるリーダーというポジションで印象は悪くない。

例えるなら、映画『プラトーン』に出てくるエリアス軍曹。泥沼の戦場で善人ぶりを突き通すあまり、反感を買った味方に返り討ちされる、報われない役回りだ。ちなみに捕鯨航海中に、スターバックが旨いコーヒーを淹れてくれるなんてエピソードは出てこない。

『白鯨』は『老人と海』程度のプロットに、退屈なクジラ博物学が混ざって上中下巻もある大著だが、なぜかアメリカ文学では古典と崇められている。以前、アメリカ人の社長と契約書を交わしたとき、手書きのサインが必要だったので戸惑ったのだが、「こんなもんでいいよ」と、相手が書いて見せたのが、『白鯨』でクイークェグが乗船の契約書に書くサイン(ロックウェル・ケント版)だった。

it stood something like this:

アメリカ人とスタバに行って文学談義にでも興ずれば、ちょっと株が上がるかもしれない。ついでに「昔は欧米人も世界の七つの海を股にかけてクジラを乱獲していた」とか、ケンカを吹っかけてみよう。スタバのディカフェに鯨肉の缶詰でも肴にして、退屈な夜の暇つぶしに読んでみるのも悪くない。