バイブルからミニ5穴までシステム手帳を試して、次はパスポートサイズ

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数年周期でやってくる「手帳を買い替えたい病」。ここ2年ほど、財布に挟まる極小カードサイズダイアリーをもてあそんできたが、そろそろリニューアルしたくなってきた。春先に試行錯誤して選んだ手帳セットについて、半年間の使い心地を振り返ってみようと思う。

まずは、なぜ今年パスポートサイズの手帳を選んだかという理由について。トラベラーズやクオ・バディスカバーなど、手帳・リフィル分離型の製品群を取り上げてみたい。

ポケットに入る手帳とメモ帳

手帳の使い方としては、ズボンや上着のポケットに収まるミニサイズが条件。A5やバイブルサイズも大きくて便利な側面はなるが、トイレや買物にさっと持っていける手軽さはない。

さらに手帳と財布と一体化させる方針を追求してきたが、次第にメモの量が増えて紙面が間に合わなくなってきた。仕事の打ち合わせなど、大量にものを書くときは複数人で共有しやすいA4くらいのレポートパッドが便利だ。自分用のメモとして、スケジュール帳と兼用しつつ実用上どこまで小さくできるかということに興味がある。

財布・手帳・スマホに加えて、もう1冊ノートを持ち歩くのは疲れる。やはり筆記具を共有するスケジュール帳とメモ帳は一体化して、自由に着脱できるリフィル形式が便利だ。システム手帳でなくても、用済みのページがミシン目で切り離せるタイプだとうれしい。

実用上ぎりぎり小さいメモサイズ

ためしに野帳くらいのコンパクトノートを携帯してみたが、ズボンのポケットからはみ出るのは不安だ。特に自転車に乗っていると、お尻のポケットから滑り落ちそうに感じる。手帳=メモ帳の大きさ的には、システム手帳の規格でいうと定番のミニ5穴マイクロサイズより大きく、ミニ6穴コンパクトより小さいくらいが今の理想に思われる。

ダイアリーよりメモ帳の方からサイズが決まる気がして、様々な規格のノートを試してみた。「ポケットに収まり、なるべく紙面を広く使えるぎりぎりの大きさ」…たどり着いた結論はパスポートサイズだ。

A6やB7という規格には及ばないが、これまで使っていたミニ5穴やカードサイズに比べると、格段に面積が広くて書きやすい。出先で思いついたメモ、ちょっとしたイラストやスケッチを書き留めるにも、耐えられるサイズだと思った。

パスポートがしっくりくるのはその薄さ

いわゆるパスポートが体になじむのは、面積以外にその薄さにあると思う。角がRになっているのも手触りよくポケットから取り出しやすい理由だろう。システム手帳だとリングの構造分、どうしても厚みが出てしまう。

もしかすると、ポケット収納に際しては大きさより厚みが重要かもしれないと気づいた。パスポートサイズ88×125mmに対して、システム手帳の6穴ポケットサイズは91×128mm。B7相当でほぼ同じだが、縦横3ミリの余白以外に、その厚みが大きな抵抗に感じられる。直径8mmのリングでも、厚さは最低15mm程度出てしまう。

システム手帳はリフィルを着脱できるのが便利だが、リングノートと同じく左ページへの筆記時に金具が手に触れる不快感がある。今のところ、コクヨのソフトリングのような対策は提案されていない。

今回はパスポートを理想として、あえて金属リングを含まない綴じノートタイプの手帳を探してみることにした。しかし、メモ帳部分は自由に抜き差ししたいので、カバーと一体型でなくリフィルを着脱できるタイプが望ましい。

トラベラーズノートのパスポートサイズ

パスポートサイズの手帳といえば、有名なのはミドリのトラベラーズノートだろう。2種類ある小さい方のリフィルがぴったりパスポートと同じサイズで、ジャストフィットする革のカバーも付いてくる。ダイアリーもメモ帳も自由に着脱できて、今回の買物では最有力候補といえる。

ただし、トラベラーズのコンセプトや革の質感は、ややカジュアル寄りでビジネスの場面にはそぐわない。リフィルにスタンプみたいな模様が印刷されているのも気になる。耐久性は高そうだが、いかにもワイルドな見た目の切りっぱなしヌメ革も利用シーンを選ぶ。

トラベラーズの革カバーを年中お尻のポケットに入れていれば、汗をたっぷり吸いこんでいい色になることだろう。革製品はどれだけ傷んでも汗臭くならないのが不思議だ。

たまたま仕事でよく接客する時期でもあったので、一応他の製品も視野に入れてみることにした。結果的にカバーは他社製を選んだが、リフィルはいろいろ試してトラベラーズノートを使っている。年度の途中だったのでダイアリーは在庫がなくフリー版を選んだが、2019年版も品切れにならないうちに手配した。

半年前に比べると今はだいぶ暇になったので、手帳の見た目もトラベラーズでいい気がする。引退して気ままに暮らすとか、旅先で似合いそうなのはトラベラーズのヌメ革の方だ。見本のようにうまいスケッチは描けそうにないが、旅行気分を盛り上げてくれる効果がある。

クオ・バディスのSapaX

目標のパスポートサイズよりやや大きいが、クオ・バディスの製品群も調べてみた。20年前にSapaX(サパックス)を数年使っていたのだが、最近はビジネスと同じ10×15cmに拡大されてしまった。

ミニ5穴より大きくパスポートより小さめという絶妙なサイズが気に入っていたので残念。それより下だと8×10.5cmのカルラという最小サイズがある。サブダイアリーやちょっとした予定管理にはいいが、メモ帳を兼ねるには小さすぎるので見送った。

クオ・バディスは純正のCLUBという合皮カバーもそこそこ質感良いが、リフィル交換に対応した本革製のカバーも販売されている。2色コンビのDUOは7千円程度。

ファーロやエッティンガー製だとさすがに数万するが、ベルトやペンホルダー、カード入れなど付いている。クオ・バディスのリフィルが好きで、機能拡張したい人にはぴったりだろう。

ポスタルコのクオ・バディスカバー

クオ・バディスの他社製カバーの中では、ポスタルコの製品が興味深い。おなじみのプレスコットンと本革のコンビで重量も軽く、経年変化も楽しめる。同社のエンベロープと同じく、ペンホルダーが外側についているのは好みが分かれるだろう。

以前使っていたA4サイズのケースだと、細くてクリップが弱いペンだと滑り落ちてしまうのがいまいちだった。また、ペンホルダーの凹凸がカバンやポケットの中で引っかかるので、見た目はかっこいいが実用性はそれほどでもない。

くすんだネイビーやレンガのようなレッドカラーは、コットンならではの発色。このカバーを試したいがために、クオ・バディスを選びたい気持ちもある。10×15cmはいわゆる文庫本サイズ(105×148mm)に近く、ぎりぎりジーパンの後ろポケットにも入る。

パスポートよりほんの少し拡大すれば、種類豊富なクオ・バディスカバーを試せる。しかし、トラベラーズノートのようにダイアリーやメモ用紙を自由に抜き差しできるほどの自由度はない。全体的に国内メーカーよりシックなデザインが魅力だが、自分の使い方だと年の途中からメモ用紙が足りなくなるのは目に見えている。

今どきめずらしい超整理手帳

ちなみにポスタルコは、いまどきめずらしく「超」整理手帳用のカバーも販売している。蛇腹式で数週間分のスケジュールを見渡せるコンセプトは、著作を読めば納得がいく。

縦長の巻物みたいな形状で目立つが、今までまわりで使っている人を見たことがない。そもそも文具屋や書店での取り扱いも減ってきて、最新リフィルは通販でないと手に入らないように思う。

ためしにグロワールの安いダイアリーを分解して似たようなシートを作ってみたが、完成度はいまいちだった。自作の超整理「風」連結スケジュール表を人前で広げるのは、かなり恥ずかしい。また、現状の生活では数か月先の予定もひんぱんに入らないので、オーバースペックといえる。

超整理手帳を使いこなせるのは、大学教授とか企業の重役とか、本当に多忙な人たちだと思う。街中で歩きながら展開するのは難しく、サイズ的にポケットへの収まりも悪い。偉い人が卓上で広げながら、じっくり長期スケジュールを調整する用途には似合っている。