ノートにペンを差して持ち歩く、ミニマリストのアイデア3選

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昔ながらのクリップボードや最新のHINGEファイル、ポスタルコのリーガル・エンベロープを使っていて気づいたことがある。そこそこ厚みのある表紙で、180~360度開けるタイプのリングノートなら、それ一冊単体で十分。余計なツールはいらないのではなかろうか。

カバーやケースに頼らずノートに直接筆記具を固定できるなら、見た目はともかく実用性は高い。

システミック vs ロジカルメモ

コクヨのシステミックシリーズのように、システム手帳ほど複雑でないファイルにノートや文具を収めて持ち運ぶという発想がある。ハンディピックなど、手帳カバーに綴じ手帳のリフィルを複数挟む使い方も近いといえる。

試しに最小サイズA7変形のSYSTEMIC activeを買ってみたが、いまいち便利さを実感できなかった。

カード入れや収納部分がたくさんあるが、肝心のペンホルダーが付いていない。同じサイズのリングノートでリング部分にミニペンを差せば、そちらの方が中身を取り出しやすく、しかもコンパクトに収まる。

ホームセンターの文具コーナーでひょっこり発見したナカバヤシのスイング・ロジカルWリングメモA7サイズ。もろにデルフォニックス・ロルバーンのコピー商品だが、独特なロジカルノートの罫線が印刷されている。別に普通の 5mm方眼で十分な気もするが、上部の余白に日付やタイトルを分けて書き込めるのはありがたい。

ゴムバンド、ミシン目入りのページ、複数の透明ポケット…ベージュ色の方眼紙でない以外は、ロルバーンとほぼ同じ仕様だ。

ポケット部分に折りたたんだお札やカードを挟めば、財布代わりにもなる。バンドで押さえられるので、不用意にノートが開いて中身が散らばることもない。リング部分も太いので、たいていのショートサイズ筆記具は差し込める。

システミックに比べると見た目はいまいちだが、ロジカルメモの攻撃力は高い。思わず気に入って、2週間くらい使い込んでしまった。ポケットにも余裕で収まるミニサイズのノート。散歩のお供に、さっと取り出してアイデアをメモするジョッター的な使い方ができて便利だった。

文具の断捨離、ミニマル化

両製品を比較して、ノートにカバーをかぶせて機能拡張するより、ノート単体でも工夫すれば便利に使えるのではと思った。ミニマリスト的に極端な考え方をすると、ノートに直接筆記具を差せば事足りる。

財布を持たず、マネークリップにお札やカード類を挟む発想に近い。ポケットに現金を突っ込むのは散らばってさすがに不便だが、極めて薄く軽量なツールで束ねる方法がある。STORUSのスマートマネークリップのようなネイキッドなツールには、ミニマリスト的な潔さを覚える。

世の中で薄型財布はブームだが、文房具は逆にラグジュアリー化の方向に走っていると思う。増えすぎたガジェット類を持ち運ぶバッグインバッグを買い求めるよりは、日ごろ持ち運ぶ道具を減らした方が合理的ではなかろうか。軽くてかさばらず、取り出しやすく、なくしたり忘れたりする心配もない。

気がつけば、買い集めた道具にしばられて不幸になっている気がする。お気に入りの筆記具が複数あるせいで、出番の減ったペンに申し訳なく思う気持ちがある。利用頻度が減ると、万年筆のインクも乾きがちになる。持ち物が多いと当然、収納場所やメンテナンスの手間も増える。

小型のリングノートをむき出しで使うように、思い切って身の回りの文房具を断捨離できないだろうか。とりあえず、ノートと筆記具を一体化して持ち運ぶ方法を3つ検討してみた。

①リングノートのリングにペンを差す

実は多くの人が無意識にやっていると思うのだが、リングノートのリング部分にペンを差す方法がある。ノートに付いているちょうどよいサイズの輪っかに、ペンを差し込んでみたくなるという、アフォーダンスが存在する。

ダイゴーの小型手帳は背中部分にパイプを埋め込んで、ミニペンの収納スペースを設けている。ここにセットされている極小鉛筆が欲しいがために、わざわざアポイント手帳を買い求めた人も多いだろう。

リングの内径が太いほどペンの収納力は増すが、筆記時に手があたって痛くなる。マルマンのスパイラルノート40枚タイプは、コイル型の金属リングが肌触りソフトだが、ミニモくらい細軸のペンでないと差せない。

コクヨのソフトリングノートは、手触りと収納性を両立させた画期的な商品だ。しかし、クリップ先端が膨らんでいるペンだと、幅広のリングに引っかかって着脱がスムーズにいかない。ノートへの固定力が強まってよしとするか、評価が難しいところだ。

ダイゴーの手帳のように、リング部分をペンホルダーとして最適化したノートが出ないだろうか。ペンを抜き差ししやすいリング素材で、ノートの上端からペンの頭が飛び出さないように工夫する。さらにペンを刺したままスムーズに180度開閉できる仕組みだとありがたい。

②ノートの表紙にペンをくっつける

東急ハンズの文具コーナーを物色していたら、画期的なペン収納を提案しているノートを発見した。WORK SUPPORT NOTEBOOKと表紙に書かれているだけで正体不明だが、調べたらコクヨの製品だとわかった。「ポケットノートツインリングとじ」、A6変形の縦長サイズで、グレーとブラックの2種類存在する。

ノートの表紙にゴムバンドが付いており、ここにペンを収納できる仕組みになっている。スリットからゴムバンドを引き出すことにより、任意の太さのペン軸に対応できる。バンドはゴム製なので、胴軸へのあたりもマイルドだ。

ノートや手帳のペンホルダーといえば側面につけるのが常識だが、表紙に重ねることで水平方向の凹凸をなくせる。その代り厚み方向にペンが出っ張るので、かばんやポケットの中で引っかかりやすいだろう。ペン先もしまえる袋型のホルダーならよかったと思う。

この製品が画期的なのは、ペンホルダーが斜めに取り付いている点だ。ペンを斜めに収納することにより、ノートの高さよりちょっと長くても出っ張らずに収まる。

伸縮可能なゴムバンドでなく、ダイノックのフィルムを使えば袋状のペンホルダーも自作できると思う。実用性は不明だが、シンプルな筆記具収納方法としては目からうろこの新発想だった。システム手帳のデザインにも応用できそうな可能性を感じる。

③ノートの表紙を切り欠くペンホルダー

スパイラルノートを眺めていたら、表紙を切り欠いて簡易的なペンホルダーをつくれるのではと思った。ある程度表紙が厚くてしっかりした素材なら、ペン先を引っ掛けるくぼみを設けるだけでコンセプトを実現できる。深澤直人が、傘の柄に買い物袋を引っ掛けるくぼみをデザインしたのと似たようなアイデアだ。

たとえば、エクリドールのXSやステッドラーのアバンギャルドライトは、クリップと胴軸の接合部分が四角い板になっている。ノートの切り込みがペン側のクリップパネルにうまくあたるよう調整すると、思った以上にしっかり固定できるとわかった。

横方向の力に対しても、クリップの台座が表紙とかみ合ってぶらぶら揺れるのを防ぐことができる。ペンを抜き差しする際に、摩擦が生じるのはクリップ部分だけなので、ペン全体を包むホルダーより滑らかに着脱できる。慣れれば普通の側面についたペンホルダーと同じくらい、素早くペンを取り出せるとわかった。

何度も抜き差しすると、さすがに表紙の切り込みが傷んでくる。裏から薄いアルミ板でも貼り付けて補強すればいいだろう。ノートを使い切っても、パーツをはがせば再利用できる。

ペンの分だけノートの厚みが増えてしまうのがネックだが、手帳リフィルの隙間に滑り込ませるような使い方なら問題ないだろう。エルメスのGM手帳カバーで、B7サイズのリングノートに切り込みペンホルダーをつくり、幅が狭いハンディピックの余白にペンが収まるようにしたらうまくいった。

見た目的にはDIY感が強いので、フォーマルなビジネスミーティングにはそぐわないかもしれない。いつもノートの表紙にペンを引っ掛けて運ぶ習慣のある人は、少しだけ表紙を加工すると格段に筆記具を安定させられると思う。