ニューバランスのGORE-TEX製トレランシューズMT620レビュー

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昨年のハセツネで、長年使ったアディダスのトレランシューズはソールが壊れてしまった。代わりに購入したのはNew BalanceのMT620というモデル。GORE-TEX製なのに、ネットのセールで1万円以下という低価格で購入できた。

トレラン業界ではマイナーといえるニューバランスだが、完全防水のMT620はコスパが高い。デザインが地味なので街中でも履けて長靴代わりになり、軽登山もこなせる万能シューズだ。

サロモン、モントレイル、アシックスなど

トレランシューズの買い替えということで、最初はメジャーなサロモンやモントレイルの製品を調べてみた。

サロモンはレースでよく見かけるが、ショップを下見すると1万円以上の高級モデルしか置いていなかった。モントレイルのシューズはいつの間にかコロンビアのロゴが並記されるかたちになり、見た目がいまいちになってしまった。

コロンビアの登山ウェアはしっかりしていると思うが、綿混紡のカジュアルラインもある。そのためColumbiaというロゴだけ見ると、「野外フェス向け」というチャラい印象を受けてしまう。

モントレイルのシューズを所有したことはないが、自分の中では「マウンテンマゾヒスト」という変態的に硬派なイメージのブランドだった。ハセツネのスポンサーになっていたせいもある。

もうひとつの候補として、アシックスのゲルフジも検討してみた。マラソンランナーには人気のブランドで、山でもたまに見かける。上記の海外ブランドより価格も若干リーズナブルに思われる。

しかしアシックスはトレランに力を入れていないのか、ショップの店頭でゲルフジシリーズを見かけることがない。シューズは実物を試してから購入したいので、残念ながらアシックスも見送った。

ニューバランスがセール

何気なくネットで探していたら、ニューバランスのシューズが販売されていた。まったくトレランのイメージがわかないニューバランス。MT620という英数字のモデル名を見てもピンとこない。

驚くべきはそのコストパフォーマンス。KEEN.DRYのような独自機能でない本物のGORE-TEXが入っていながら、セールで1万円を切っていた。価格は流動的だが、当時は税込8,694円で注文することができた。

念のためサイズ違いを複数取り寄せ、装着感がよかった28cmを購入した。アシックスやアディダスなら27cmを選ぶところだが、フィット感はメーカーやモデルによってまちまちといえる。

最近のネット通販は試着してから無料返送できるので、こういう買い方もできる。特に店頭にないレア製品を取り寄せて試すには、うれしいサービスだ。買わなかったシューズを宅急便の着払いで返送するのは面倒だが、自宅でじっくり試し履きできる。

MT620の外観と重量

MT620の外観はブランドロゴのNマーク以外、アッパーからソールまでブラックで、トレランシューズらしからぬ精悍な印象を受ける。

ニューバランスMT620の外観

「CUSH+」と書かれた分厚いソールが仕込まれており、以前履いていたアディゼロXTより1.5倍くらいクッション性があるように感じた。ソールはトレイル向けにしっかりと溝が刻まれた、固いゴムが貼りつけられている。

ニューバランスMT620のソール

重量はロード用のランニングシューズに比べるとかなり重く、左右でそれぞれ330~337gもあった。履いたときの重さも見た目どおりという感じだ。

ニューバランスMT620の重量

しかし荒れ地を走破するトレイル用としては、多少重くても安全性・耐久性を重視したい。ロード用のシューズで山道を歩いたり走ったりしていると、がれきを踏んで足の裏が痛くなってくることもある。

ゴアテックスの防水性を検証

ゴアテックスのシューズを履くのは初めてだ。そもそもレースでなければ、わざわざ雨の日に山に行く習慣はない。前夜の雨で路面がぬかるんでいたりして、ときどきシューズが濡れるのが気になるくらいだった。

ためしに雨の日にMT620で外出してみたところ、それなりに雨に濡れてもまったく浸水する気配がなかった。ソールが厚いので、多少の水たまりならアッパーを濡らすことなく踏むこともできる。

GORE-TEXの防水性能は本物だった。他の防水素材もそれなりに良くできていると思うが、定番と言われるだけのことはある。予算が許すなら、防水ギアはこれを選べば間違いない。

ニューバランスMT620のGORE-TEXタグ

ゴアテックスは透湿性も売りだが、ナイロンメッシュに比べるとさすがに靴の中が蒸れる気がした。以前同素材のレインウェアを試着したときも、似たような印象を受けた。

「ゴアテックスが蒸れにくい」というのは、あくまで「従来の雨具と比べて」という意味だろう。防水層によって通気性がさまたげられ、多少は内部に湿気がこもる。

ゴアテックスは防風性も高い

奥多摩の金比羅尾根をMT620で歩いてみたら、クッション性が高いためか、いつもより足が疲れなかった。ソールが固いので、不安定なガレ場も安定して歩ける。

さらにGORE-TEXによって、防水性だけでなく防風性もアップしているようだ。冬場の登山口までロードバイクで自走したが、シューズカバーなしでも足先が冷えなかった。

シューズの外観はごついが、フラットペダルなら問題なく踏める。雨にも風にも強く、そのまま自転車から下りてトレッキングできるのは便利。防風性の高いゴアテックスシューズは、秋冬のツーリングにも適している。

街履き・登山も兼ねられる汎用性

MT620は見ためが比較的シンプルなので、街中で履いても違和感がない。アウトドアだけでなく、雨の日の長靴代わりにも履くようになった。ゴアテックスのおかげか、一般的なゴム製長靴ほど激しく蒸れることもない。

さらにトレランだけでなく、日帰り登山もこのシューズで済ませられるようになった。今まではKEENのピレニーズという革製ブーツを履いていたが、奥多摩~丹沢程度の登山にはオーバースペックだと感じていた。

低山中心のハイキングなら、登山靴はトレランシューズで代用できる。ローカットだが軽量な分、機動性は高まる。スパッツやゲイターと組み合わせれば、これで富士山の大砂走を駆け下りることもできるだろう。

ニューバランスMT620を履いた状態

MT620はウルトラライト志向のマウンテンミニマリスト向け製品ともいえる。ゴアテックス入りの防水シューズがあれば、トレラン・登山・バイクと様々なシーンでマルチに役立つとわかった。舗装路でソールをすり減らすのはもったいないが、普段のジョギングで履いても差支えないと思う。