代々木上原の巨大モスク、東京ジャーミイ・トルコ文化センター無料見学

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代々木上原から井の頭通りを西に進んで、長い坂を上がる途中にモスクがある。下から見える塔を目指して歩いて5分くらい、大理石でできた巨大な構造物に目を奪われる。

東京ジャーミイ・トルコ文化センターという施設で、現地の人々によって建てられた本格的なイスラム教寺院。宗教施設なので立ち入るのは難しいかと思いきや、無料で開放されていて、1階にはお土産コーナーもある。

東京観光でおすすめの近代建築の一つ

建築好きの知り合いに、東京観光でおすすめできる玄人向けの近代建築。わりと自由に見学てきる有名どころといえば、とりあえず以下のようなものを思いつく。

  • 自由学園明日館(フランク・ロイド・ライト設計)
  • 東京カテドラル聖マリア大聖堂(丹下健三設計)
  • 松涛美術館(白井晟一設計)

さらに進んで明治期の洋館だと、旧岩崎邸庭園や旧前田邸。変な建物なら朝倉彫塑館や三鷹の森ジブリ美術館。武蔵小金井まで遠出できるなら江戸東京たてもの園。

これらも観た後に、少し趣向を変えたイスラム様式の建築としては、東京ジャーミイをおすすめしたい。場所も代々木上原なので、新宿~渋谷からアプローチしやすい。

意外とオープンな東京ジャーミイのモスク

宗教建築なので信者でないと入れない感じがするが、代々木上原のモスクは意外とオープンである。これまで何度か訪れて、「礼拝中だから立ち入り禁止」というようなことはなかった。正月でもお盆でもクリスマスでも、いつでも開放されている気がする。公式ページを見たが、定休日というものがない。イスラム教のサラート(礼拝)は毎日行われるからだろうか。

仏教のお寺で、気軽に本堂に入って「座禅でも組まさせて」というわけにはいかないし、キリスト教の教会でも見学にはミサの参加が必要だったりする。昔、安藤忠雄の光の教会を見たいがために礼拝に参加したことはあるが、気が重かった。さらに進んでイスラム教となると、戒律が厳しそうで敷居も高く感じるのだが、東京ジャーミイの入口は常に空いているし、近所の散歩でふらっと立ち寄れる気軽さがある。

1階はトルコ文化センター、お土産コーナー

訪れたのがたまたま土日だったからか、入口にカフェのメニューやケバブの看板が出ていた。

ここはトルコ文化センターでもあるから、特産品の販売とか文化の紹介はありなのだろう。ちょうど無料の日本語ガイドが行われていて、参加者が15名くらい。お土産コーナーは家族連れで賑わっていた。めずらしいハラール食品も買うことができる。トルコ産に交じって、なぜか韓国の辛いラーメンも推奨されている。

休憩スペースでトルコのお茶を無料で飲める。なにか緑茶と紅茶の中間のような味で、特に違和感なくおいしくいただけた。

昨年末に上映していた『海難1890』のポスターが貼ってあった。

題材になっている歴史的事件については知らなかったが、あらすじを見ると、日本・トルコの友好関係に感動的な逸話があるらしい。トルコの教科書には載っているそうだが、小中学校で習った記憶はない。

2階はモスク礼拝場(服装規定あり)

入口脇の階段から2階のテラスに出ると、床から天井まですべての部材がゴージャスな大理石でできていて驚く。海外の教会ではよくあるが、日本の建築でここまで贅沢なパブリックスペースというのは見たことがない。

そもそも木造文化だからかもしれないが、日本ではわびさびとか、自然に近い苔とか岩が重んじられ、「高級感」の概念が海外と異なる。同じアジア圏でも、中国の蘇州にある世界遺産庭園では、太湖石の奇岩を庭に並べるのが富の象徴とされていて、もっと即物的である。つまり代々木上原のモスクのテラスに上がると、異国のフランス式庭園に迷い込んだようなエキゾチックな感覚を味わえる。

ちょうどアスルの礼拝中だったので、内部の写真撮影は控えたが、前方でお祈りしている人たちの後ろでも見学は自由である。後半は牧師さんのような人が前に出てしゃべっていたが、基本的にはそれぞれが唱和とおじぎを繰り返す個人的な儀式のように思われる。

礼拝場の見学について服装の規定があり、男女ともに肌の露出を抑えた方がよさそうだ。さらに女性はストールかスカーフが必須なのでご注意を。