御岳山で自転車・徒歩のナイトハイキング。夜間登山の便利グッズ

記事内に広告が含まれています。

昨日久々にロードバイクに乗ってみて、体力的にもう少し遠くまで行けそうに思った。そろそろ秋も深まって、登山やツーリングには厳しい季節。11月の間にもう少し山を登っておこうと考えて、奥多摩の御岳山に行ってきた。

ケーブルカーの駅から山頂までのピストン。だいたい2時間の行程だったが、北側斜面で樹木も多く、夕方の下りはライトのお世話になった。夜に山を歩くのはあまり気分が良いものではないが、久々にナイトハイキングになってしまった。

御岳山に向かう青梅・吉野街道の比較

高尾山に比べると、御岳山は駅から登山口まで距離が離れている。ケーブルカーを利用するとしても、途中の区間はバスに乗るのが標準的だ。青梅以降の御嶽駅は、タイミングが悪いと1時間くらい次の電車まで待たされることもある。

ケーブルカー駅直前の激坂まではそこまで起伏もない。御岳山には自転車で自走してアプローチするのがおすすめだ。都内からだと青梅街道を北上して、多摩川橋で多摩川を渡って吉野街道に乗り換えるコースがわかりやすい。

青梅街道は新旧2本あり、玉川上水沿いの旧道の方が交通量は少ない。しかし、新道の方が路肩が広く、一部はブルーの自転車専用道も設置されている。この道路は尾根幹線道路並みに信号のタイミングが悪く、「夜間押しボタン式」の横断歩道にも高確率で引っかかるのが難点だ。ストップ・アンド・ゴーを効果的なトレーニングと思えるなら、安全面からも新道の方をおすすめしたい。

吉野街道は長淵のあたりから大型車が通行可能になるため、ダンプやトラックもよく通る。並走する青梅街道も交通量は多いので、自転車にとってどちらがよいとも言えない。吉野街道の方が路面はよく、帰りは下り基調でスピードに乗れる。

行きは青梅、帰りは吉野街道がベターかもしれない。途中に吉野梅郷や吉川英治記念館という観光スポットもある。どちらの街道沿いにも、奥多摩名物の「へそまんじゅう」を販売しているお店がある。

参道の急坂は交通事故多発

御岳山の鳥居をくぐってしばらく進むと、赤く塗られた琴沢橋のあたりから、すばらしい勾配の坂が出迎えてくれる。標識によると15%以上あり、ケーブルカー駅の終点に進むにつれてさらに傾斜がきつくなっていくプチ激坂だ。

御岳山、ケーブルカー駅前の激坂

初めて来たときは勝手がわからず、途中でビンディングも外せなくなってしまい、根性で上りきった。車やバスの往来も激しい通りなので、最近は無理せず自転車を押して上っている。

歩いていても危機感を覚えるほどの勾配だが、今日はたまたま事故現場に遭遇してしまった。下り側がブレーキ制御できずコースアウトしてしまったのか、ほぼ正面衝突でボンネットは大破。ドライバーは救急搬送されてレッカー移動中だったが、どちらも無事では済まされないだろう。

御岳山での交通事故

話を聞けば、午前中にも川に車が2台転落するトラブルがあったという。事故見物の二次災害だろうか。この付近の民間駐車場は1,000円もして、土日は順番待ちの渋滞になるくらい。坂道発進の練習にはもってこいだが、御岳山にマイカーで来るのはおすすめできない。

速足で山頂まで50分

ケーブルカー滝本駅の駐車場に、自転車は無料でとめさせてもらえる。構内にトイレや自販機、お土産物屋も充実しているので、登山前の補給はここで間に合う。

御岳山の滝本駅

歩いて登ろうとすると、川を渡った鳥居の先の急勾配に圧倒される。ここが登山道で最も坂がきつい部分だ。御岳山は前半の坂がきつく、中間地点の「なかみせ」でやっと一息つける。ケーブルカーの線路をくぐった後半はまだ楽だ。

御岳山の登山道入口

参道の杉の木には番号が振って管理されているが、年々切り倒される木が増えているように思う。先日の台風でも被害があったのか、生々しい切り株もいくつか見かけた。

御岳山、参道の杉の木

登山道は高尾山1号路のように、全面的に舗装されているので普通のスニーカーでも登れる。高尾山より御岳山の方が標高は高いが、滝本駅から山頂までだと、さほど変わらない運動量に思われる。

北斜面で日が差さないので、いつ登っても薄暗い杉林に見える。道も景色も単調なので、考え事でもしながら散歩するにはうってつけのルートだ。今日は出発が15:40と遅くなってしまったので、速足でがしがし登った。

御岳山の参道

頂上の集落に着いた時間が16:15くらいなので、黙々と歩けば35分で上りきれる。そこからのんびり歩いて神社に着いたのは16:30頃。1時間もかからずクリアできたので、高尾山より歩く距離は短かったと思う。

御岳神社の奥宮遥拝所は必見

御岳山の頂上付近は、ちょっとした山岳都市のようになっている。青梅市の管轄で住所もあり、標高900mくらいの高さで普通に暮らしている。登山道は生活道路も兼ねていて、住民や郵便局・宅急便の車も往来する。集落では小学生も見かけるので、どうやって通勤通学しているのか不思議に思う。

昨年長らく改修工事をしていた、茅葺屋根の豪邸が完成していた。文化財のようにも見えるが、普通に人が住んでいる住宅なのだろう。東京都内で御岳山に住むのは、ちょっとしたステータスに思われる。

御岳山の茅葺屋根

ケーブルカーでアクセスしても、山頂の神社まではそこそこ距離がある。高尾山と似たような構成だが、御岳山の方が都市化されていて売店や宿坊も多い。神社に登るには、延々と階段を上る男坂、スロープになっている女坂の2つのルートがある。スロープでも勾配は変わらないので、階段の方が歩きやすいと思う。

御岳山、神社前の激坂

御岳神社の前はそこそこ眺望がいい。道中「天空もみじまつり」の旗が出ていたが、本格的に紅葉していたのは境内のもみじくらいしか覚えていない。登山道はほとんど杉の木で、まったく紅葉している要素は見受けられなかった。

御岳山、神社からの眺望

御岳山の山頂目印は、神社の裏にひっそり立っている。この奥にもいくつか社があるので、見学・お参りせずに帰るのはもったいない。

御岳山の山頂

御岳山から大岳山に向かう途中に「奥の院」があり、そちらの方向に向けて簡易的な参拝スポットが設けられている。御岳神社の中でも一番ひっそりした場所で、紙垂(しで)が風に揺れてカサカサ鳴る音しか聞こえない。

一度、奥宮まで行ってみようと思ったが、冬の積雪が激しくて到達できなかった。ここから先は想像以上にハードな登山道だ。

夜間登山のおすすめ装備

時間があれば眺めのよい長尾平まで足を延ばしてみようと思ったが、さすがに暗くなりそうなのでスキップした。そのまま寄り道せずに元来た登山道を戻ったら、うっそうと茂る杉林に月明りも阻まれて、真っ暗になってきた。

夜の山道はぞっとしないが、ハンドライトは予備を含めて2本、替えの電池も常備してある。歩きやすい舗装路なので、ヘッドライトを装着するほどではない。

御岳山の夜道

ハンドライトは自転車と兼用できて便利なGENTOS SG-355B。遠出する際は2本持って行く。普段の夜間ジョギングから何でも使えて、単4電池で充電不要。適度な明るさで4~5時間使え、コンパクトなボディーで防水性もある。ツーリングから鍾乳洞探検まで活躍する、頼もしい相棒だ。

さすがにこの時間は歩く人もいないので、静かでいいと思ったら、にわかに車の通行が激しくなってきた。ちょうど登山客がいなくなる時間帯を狙って、工事の車や住民が上り下りするようだ。御岳山の17時台は、軽く通勤ラッシュのようだった。

御岳山の参道を走る車

手元の時計は軍用のMARATHONを着けてきた。戦場で夜光のトリチウムが目立ちすぎるきらいから、あえて輝度を落として設計されている。それでも夜の山では、蛾が寄ってきそうなくらい発光する。

ラソンウォッチ

電池切れの心配なしに使えるので、夜間登山やトレランで重宝する一本だ。厚みはあるがケースサイズ34mmと小さく、プラスチックにナイロンベルトできわめて軽い。GPSや高度計付きのハイスペックなアウトドア時計よりデザインもシンプルで、普段使いできるのもありがたい。

滝本駅に戻ったのは17:25。神社に参拝して、往復1時間45分の行程だった。ケーブルカーは18:30終電だが、駅の券売機や土産物屋はもう閉まっている。トイレを借りて防寒装備を整え、参道の激坂を自転車でおそるおそる下った。

わざわざ歩いて自転車を引き上げるより、坂の下で駐輪した方が合理的だが、セキュリティー上は駅まで持ってきた方が安心だ。下りは勾配がきつすぎてダウンヒルを楽しめる雰囲気でもないが、自転車だとあっという間に下りられる。

御岳山の激坂3名所

無謀にも、御岳山の登山道をそのままロードバイクで上った動画がYouTubeで公開されている。車と人を通行止めして、ここでヒルクライムのレースが開催されたら盛り上がると思う。御岳山の参道は、ラピュタや風張林道を超える奥多摩屈指の激坂といえる。

毎回歩いて登りながら、いつか自転車で来ることをイメージして道の下見をしている。事前のサーベイによると、山頂までのルートで勾配30%近くありそうな危険個所は3つある。

  1. 滝本駅前の鳥居
  2. 神代ケヤキの脇
  3. 神社前の女坂

道中まんべんなく勾配はきついが、特に最初の鳥居と最後の神社前は、歩いていてもひっくり返りそうなくらいの激坂だ。近くにある急勾配で有名な子ノ権現の坂が、果てしなく続くような感じ。それぞれ単独ならこなせるかもしれないが、いくつもの激坂区間を内に秘めているのが御岳山の特徴といえる。

御岳山、集落内の激坂
重心の低いミニベロならまだしも、通常サイズのロードで完走できる人はプロレベルだと思う。引き足を使わなければ急勾配はこなせないが、ペダルに足を固定すると転倒が怖い。機材の選択についても考えさせられる難コースだ。

ロードバイクで筋肉痛になる部分

御岳山までロードバイクの走行距離は往復50kmくらい。3か月のブランクがあったので、翌日はそこそこ筋肉痛になった。

やはり自転車は、ランニングに使う筋肉とは別の部分が刺激されるようだ。マラソンランナーでも、トレーニングに自転車を取り入れたら足をまんべんなく鍛えられて、故障の防止につながると思う。上り坂ではハンドルを引っ張るからか、普段鍛えることのない上腕三頭筋を活用できる。

筋肉痛とは別の意味で、首の後ろも痛くなる。かなり上体を起こしたポジションとはいえ、前傾しながら前を見ていると首に相当負担がかかるようだ。自転車は体に負担の少ない有酸素運動としておすすめだが、首が痛くなるのは不健康だ。ショートリーチのエアロバーを長時間握っていると、手首の骨にも荷重がかかってしばらく痛みが出る。

走ったり泳いだりするのは、二足歩行を始めたアウストラロピテクスの頃からヒトの習慣だったといえる。自転車が発明されてからせいぜい200年くらいなので、身体的な構造がまだ追いついていない。いずれ首や脊椎が適応して楽に乗れるようになるには、何万年もかかると思う。その頃には自転車もすたれて、別の乗り物が発明されているだろう。