わかりにくい小規模企業共済の「掛金減額」申請方法と適用イメージ

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中小企業向けの定番節税ツール、小規模企業共済のメリットについて長々と検討してきた。そして、所得がゼロなら株式投資の利益や配当の税金控除を受けられるメリットが大きいと気づき、昨年再加入を果たした

結果的に年末から世界的に株価が急落したので、税金控除を見込んでいたそもそもの含み益が吹っ飛んでしまった。大幅に目論見が狂い、このままでは控除枠を消化しきれず、掛金納め損になる見込み。1月にさっそく「掛金の減額」を申請してみた。

中小機構のウェブサイトにある掛金減額手続きは、なぜか情報が少なくわかりにくい。

  1. 公式サイトの説明ページが見つけにくい
  2. 申請書類が1枚しかもらえず、追加分は電話で取り寄せ必要
  3. 銀行でなく機構に郵送するしかなく、切手代がかかる

以上のような妨害工作が行われており、加入者に減額を思いとどまらせようという意図がみえる。手元にある小規模企業共済手帳の説明をもとに、手続き方法と適用イメージについて詳しく説明しよう。

減額申請の流れ

中小機構、公式サイトにある減額申請の説明はここだ。しかし、よくある質問>掛金額の変更とリンクをたどっても、このページに行きつくことはできない。「掛金の増額/減額の手続き」というページは、タイトルと裏腹に増額方法についてしか説明されていない。

おそらく機構としては、運用資産が目減りする掛金減額をなるべく行ってほしくないのだろう。あからさまに手続き方法を不明瞭にして、ハードルを上げているように見える。

申込書の入手方法

減額申請に必要な「掛金月額変更申込書」という様式(小 102-1)は、ウェブサイトからPDFをダウンロードできない。共済加入時に送られてくる仰々しい「契約締結証書」と一緒にとじ込まれており、増額/減額を兼ねて1枚しか含まれていない。

この書類を紛失したか、2回目の申請が必要な場合は、機構に電話で問い合わせるしかない。追加で送ってもらえるとは思うが、あえてウェブで様式を公開したり、フォームから取り寄せできないようにしているのは、妨害工作の一環だろう。

申込書の記入方法

減額の場合、申込書に書き込む部分はごくわずかである。住所と氏名は最初からカタカナで印字されている。生年月日を書いて本人印を押し(会社のハンコではない)、右下の減額申し込み欄に希望する掛金月額を入れるだけだ。

左下に大きく面積を占める「現金あり/なし」という欄は、増額の場合なので今回は使わない。委託団体や代理店に受付日付印を押してもらう必要もない。その代り、自分で切手を貼って封筒に入れて、中小機構に郵送する必要がある。

旧掛金が割り振り充当される

増額の場合は当月6日以降の到着で翌月、減額の場合は翌々月以降で掛金が調整される。案の定、申請から適用までに2か月ものタイムラグがあるとわかった。

しかし実は申し込んだ月の旧掛金が、その後最長13か月にわたって毎月割り振り充当される仕組みがある。70,000円から1,000円に減額したので、この先13か月で13,000円は自動で補填され、その後残りの57,000円は返金されるはずだ。

どうせなら手離れよく、とっとと全額返金してもらえた方がうれしい。しかし減額申請する加入者の懐事情を推しはかってか(あるいはクレームが多いのか)、申請後の掛金負担を少しだけ減らしてくれようという心づかいが感じられる。

減額後の増額はどうなるのか

もし今年中に株取引や配当で利益が大きく出ることがあったら、今度は増額申請して計画どおり税金控除に役立てたい。

中小機構としては制度上、同一年度内の頻繁な減額/増額は想定していないように思う。減額後の掛金充当中、再び増額すると残額はどうなるのか気になるところだ。

とりあえず毎月千円なら、放置しても気にならないくらいの金額。このまま世界経済が長期低迷したら、当面株も投信も塩漬けして利益は出ないだろう。毎年12,000円分、控除に使えず掛け捨てになるが、その程度なら構わない。

毎年掛金40万までに抑える

少なくとも共済の加入年数を稼いでおけば、後々解約する際、退職控除の勤続年数に加算できる。もしまた投資の利益が膨らんだら、がっつり掛金増額&前納して、退職所得控除枠を使い切ればいいだけの話。

試算によれば、平均して毎年40万(勤続年数20年以下の控除額/年)までの掛金に抑えることで、いっさい課税されずに共済金・解約手当金を受け取れるはずだ。