e-Taxソフトによる法人税申告マニュアル⑤~電子申告と控えのPDF印刷

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姉妹版ソフトPCdeskで地方税の申告・納税を済ませたので、再びe-Taxソフトに戻る。こちらもメインメニューから電子署名・電子申告する流れは、PCdeskとほとんど同じだ。

e-Taxの電子申告と一括印刷

まず、すでに作成済みの帳票類を「保存」から「作成完了」のステータスにしておく。ICカードリーダーを使用し、公的個人認証の署名用パスワードを入れて読み込ませる手順はPCdeskとまったく一緒。

署名済みの申告書を選び、送信ボタンを押す。するとPCdeskと違って、送信時に利用者識別番号と暗証番号の入力が要求される。


データが受理されると即時通知結果が表示され、審査中と案内される。最初の方で申告データのタイトルを変な名前に設定してしまったので、このまま税務署に送られるとちょっと恥ずかしい。

しばらくしてからメッセージボックスを確認すると、「送信データを受け付けました」というメールが届いて作業は完了。今年も税額セロなので納付は必要ない。

電子申告だと手元に控えが残らないので、念のため最後に帳票類を一括印刷しておくとよいだろう。最初に選んだ「申告・申請等」メニューでデータを選ぶと、「帳票一覧」と一緒に「一括印刷」のボタンが表示されている。


一応、一括で印刷(PDF化)はできるが、それぞれバラバラのファイルで出力されてしまうのが難点だ。Acrobatがあれば、複数のPDFを結合しておくと後々便利だろう。

余裕があれば修正、再提出

申告が終わってから一通り手順を確認してみて、足りない書類や間違っているところがいくつか見つかった。せっかく細かく調べたので、手が空いたら修正版のデータを作成して、再送信してもいいかなと思う。

データ入力や電子署名の手間はかかるが、昔のように手書きと郵送で修正申告とか「更正の請求」を送るよりは楽だ。提供されるソフトはとっつきにくいが、最初のIDやパスワード取得をクリアすれば、勘で使いこなせないこともない。2年目の今年は、ほとんどマニュアルも読まずに作業を進められた。

わりと時間に余裕があって、少しでも経理のコストを減らしたい会社さんには、おすすめの申告方法だ。

法人に青色申告控除はないと知った

これまでさんざん赤字赤字と言っておきながら、決算書の上で黒字になってしまったのは訳がある。実は、法人の青色申告でも65万円の控除があると、長い間誤解していた。

どうせ毎年65万を利益から引けるなら、貴重な繰越欠損金を充当する前にフル活用した方がいい、そんなしょうもないアイデアを考えていた。その結果、セーフティ共済の前納月数を微調整して、ちょうど50万くらいは利益が残るように期末に小細工していた。

最終的に未入力の経費があって利益は目減りしてしまったが、その代わりセーフティの前納月数カウントに期末最終月も含んでしまうというハプニングがあった。両者を相殺して、税引き後の利益はちょうど60万くらい。

計画通りの目標数値に落とし込めてほくそ笑んだのだが、法人税申告の別表のどこを探しても、青色申告控除の欄がない。個人事業の青色申告決算書で、1枚目の右側最後にある、例のスペシャル控除だ。

いろいろ調べて、この特典が適用されるのは個人事業のみで、法人は対象外とわかった。同じ青色申告なので、てっきり毎年利益から65万引かれていると勘違いしていた。会社経営に関わってきたこの10年、どちらかというと赤字の年の方が多かったので、気づかなかっただけかもしれない。

繰越欠損金は少ない方が合理的

さいわい、前期に大きな欠損金を積んでいたので、一部を取り崩して納税する必要までは避けられた。欠損金も10年以内に解消しないと消えてしまうルール。また、簿外の共済にキャッシュを預けるよりは、なるべく手元に置いて運用した方が経済的に合理的だ。

究極的には、毎年課税されないぎりぎりの利益で、可能な限り少額の欠損金を繰り越しつつ節税プレイするのが理想といえる。ただし、今回のようにうっかり想定外の利益が出てしまって、万が一納税となると、申告書の作成から中間納税まで事務作業のコストが飛躍的に増える。

ちまたでいう103万・130万の壁と同様に、法人の黒字化にもどっと苦労が増える「壁」と呼べそうな現象がある。今期は経費がかさんで粗利もしょぼく、中小機構の共済を援用するくらいで利益をそこそこ抑えられた。

のれんを掲げている以上、儲かるのはありがたいが、利益が出るのはうれしくないという倒錯した経営方針。課税を避けて合法的にマネーロンダリングできる、さらに画期的な節税メソッドが求められている。