ブログで稼げるまで15年かかった~Movable TypeからWordPressへ

引退後は、ほぼ毎日ブログを書いて過ごしている。むしろ副業で始めたブログがおもしろすぎて、一日中執筆に専念したいので退職してしまった気もする。アーリーリタイアに向けた資金計画は準備していたが、「老後もブログで暇つぶしできる」という感触をつかめたことが早期退職の決断を後押しした。

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月5千円稼げれば勝ち組

アフィリエイトで稼げるといっても、直近の売上は月間2万円程度の微々たる額だ。「ブログ飯」というのもはばかられる実績だが、独り身で支出もミニマムなので、十分に家計の足しになる。

「月に5,000円以上稼げるアフィリエイターは1割にも満たない」という噂なので、まあ勝ち組といえないこともない。みすぼらしくともブロガーは一国一城の主。資産運用の他に純粋なストック収入を持つのは、不動産やマイホームを持つより気が楽である。

ブログについては短期の収益よりも、長期的に記事を積み上げて成長していく過程を観察するのが興味深い。数か月放置してもPVや収入が極端に落ち込むことはなかったので、将来にわたって積分すればそれなりの収入は見込めるだろう。時間を切り売りして働いていた会社員時代には、想像もできなかった不労所得の世界を垣間見ている。

IT業界においてブログはすでに枯れたメディアだが、そのおかげでこの先数十年は続けられそうな安心感がある。2000年代初頭から当時流行のCMSでブログを書き始めて15年間、ユーザー・開発者としてブログ運営に関わってきた実感だ。

本格的に記事を書き始めて、ドメイン・サーバー代やブログサービスの必要経費をペイするようになったのはここ数年のこと。それまでは趣味の日記や雑誌のレビューを試しては、毎年赤字を垂れ流してきた。勉強代といってもたかが知れるが、おかげでブログを長く続けるコツというものがわかってきた気がする。

特に文才もセンスもない一般人が、ブログで少しは稼げるようになってきた15年の過程を振り返ってみようと思う。

ネット黎明期からウェブ開発

2000年前後のインターネット黎明期から、趣味で自己紹介的なウェブサイトを運営していた。自宅にサーバーを立てるほどのスキルはなかったので有料のレンタルサーバーを借りて、独自ドメインくらいは取得してみた。ウェブサイトといっても学生のお遊び程度の内容で、趣味で作ったプログラムや作品を公開していた。

最初はAdobeのDreamweaverというソフトを使っていた。見よう見まねでサイトを作っているうちに、HTMLやJavaScriptの基礎知識を身につけることができた。当時インタラクティブなサイトを作るには、FlashやShockwaveというプラグインを導入する必要があった。Adobeに買収される前は、 Macromediaという会社がウェブ業界の大手だったのは懐かしい。

ブラウザ上で3次元CGを表示できるVRMLも扱ったことがある。セットアップは面倒だったが、今思えばろくにグラボも積んでいないマシンでよく動いたなあと感慨深い。セカンドライフの簡易版みたいな仮想世界をPC上で構築できる技術は衝撃的だった。アルゴリズムを工夫すれば、Boidsで魚や鳥の群れをシミュレーションすることもできた。

その頃から自作のシェアウェアを売ったりネットビジネスで稼ぎ始めている人はいたが、子供の頃からプログラミングしているような凄腕ばかりだった。地味なサーバーサイドの技術にはもともと興味がなく、その筋のプログラマーにはとうていかなう気もしない。見た目が派手なFlashやウェブデザインのフロントエンドに関わるようになったのは、自然な流れだったといえる。

最初に取得した汎用jpドメインで、プロフィールを掲載しているウェブサイトを今でも維持している。Gmailにエイリアスを設定して運用しているが、独自ドメインで安定したメールアドレスをキープできるのもありがたい。.jpは年間の維持費が高く業者間の移管も手間がかかるので、せめて.comとか.netとかわかりやすいgTLDドメインにしておけばよかったと後悔している。

CMSのカスタマイズを請け負う

その後、勤め先でウェブサイトの開発に携わるようになった。ちょうどMovable TypeやXOOPSといったCMSが勃興してきて、従来のスタティックなHTMLとCSSから移り変わりつつある時代だった。

CMS(コンテンツ管理システム)というのは言い得て妙で、WordやExcel程度しか触らない人でも管理画面をいじるだけで記事の更新ができる。やり方を覚えれば、手軽にニュースや商品記事の追加・更新ができて、ウェブ制作の費用を削減できるという売り込みだった。使いこなせば、さらにモジュールの配置やカスタマイズもできた。

一方で、当時のCMSは現在主流のWordPressより動作が重くて使いにくく、デザインテンプレートも揃っていなかった。サーバーにインストールしただけでは、まるでモバゲーに下着姿で放り込まれたアバターのように素っ気ない。そこで我々プログラマーやデザイナーが、PHPを駆使してクライアント向けにCMSをカスタマイズするというビジネスが成立した。

逆に、既存のテンプレートにコンテンツを流し込むだけの格安ウェブ制作サービスも出始めたので、ウェブ制作屋としては何か付加価値をつけてCMSでも売らないと、食べていけなくなるという危機感があった。幸い当時はまだカスタマイズが難しく、プログラマーが活躍する余地が残されていたので、顧客に代わって設計・実装する作業を任せてもらえた。

Movable Typeで始めた最初のブログ

職場で覚えたMovable Typeを駆使して、自分のサイトにも流行りのブログをセットアップしてみた。外のレストランで食べたものとかライブに行った感想など、他愛もない雑談や日記のようなことばかり書いていた。

そのまま10年続けていれば、アルファブロガーならぬ三流ベータブロガーになれたかもしれない。しかしブログの見た目をデザインする技術とは別に、人に読んでもらえる文章を書くのは難しいと思い知った。

アフィリエイトも試しにAmazonアソシエイトだけ登録してみた。趣味のサイトで収益は期待していなかったが、適当に設置したバナー広告経由で、年に数100円くらい売り上げが入るようになった。放置していても、知らないうちに誰かがバナーを踏んで本を買って、紹介料が転がり込んでくるという仕組みだ。お小遣いにもならないくらいの売上だったので、事業としては当然ドメイン代とサーバー代の分だけ赤字になった。

当時は他のネットビジネスに比べて、ブログのアフィリエイト程度で生計が立てられるとは思えなかった。知り合い経由の依頼で、ちょっとしたウェブサイトを開発する方がずっとわりがよかった。今はツールが発達したので、個人レベルのウェブデザイナーでは差別化を図りにくくなってきている。

やがて本業が忙しくなりブログは中断してしまった。自分のウェブサイトも略歴と実績だけのシンプルなデザインに変えたくなったので、そのうちMovable Typeはデータベースごと削除してしまった。

無料のSeesaaで2回目のブログ

数年経ってから暇になったので、またブログでも書いてみようという気になった。CMSはセットアップとカスタマイズが面倒だったので、今度は無料のブログサービスを試してみようと思った。

類似サービスの中では比較的ユーザー層がましに見えた、Seesaaのアカウントを作ってみた。今回は単純な日記でなくテーマ性を持たせてみようと思ったので、当時購読していた「日経ビジネス」という雑誌をレビューすることにした。毎週薄い冊子が送られてくるので、おもしろかった記事を紹介・分析して自分の勉強にも役立てようという計画だった。

滑り出しはよかったのだが、東日本大震災が起こって東北に長期出張したり、急に仕事が忙しくなってしまった。ネタ元である日経ビジネスを読む時間すらなく溜まっていく一方だったので、ブログの継続は諦めてしまった。無料サービスで「投資した元を取ろう」というモチベーションは湧かず、アフィリエイトもせず金銭的なインセンティブがなかったので、続かなかったのも当然といえる。

Seesaaは見た目のデザインをあまりいじれず、勝手に広告が挿入されるのも嫌だったが、記事の執筆に専念できるというメリットがあった。アクセスする端末さえあれば、ノートPCでも携帯電話でもシンクライアントで執筆できる。以前使っていたMovable Typeのように、格安レンタルサーバーだとスペック不足で動かないというようなトラブルもない。

2度目のブログは自己研鑽が目的だったが、無料ブログサービスのメリットを実感するよい経験になった。

新事業サーベイのため3回目のブログ

現在も続けている3度目のブログを始めたきっかけは、社内で「ウェブ広告的な事業をやろう」という話が出たことだった。勤め先はIT系とはいえソフトウェア開発が中心だったので、それまで広告事業で稼いだ経験は一切ない。ASPといえばApplication Service Providerの略だと思っていた。

とりあえず新規事業のフィージビリティスタディとして、ネットの広告業界について調べてみることになった。自社のウェブサイトは内製しているし、他社のサイト制作も請け負ったことはある。しかし、広告を使ってお金を稼ぐということについては未知の世界だった。過去に個人サイトで試したAmazonアソシエイトもお遊びのレベルだ。

ネット上で毎日見かけるバナー広告。それまでは「これをクリックして商品を買えば紹介料がもらえるんだろうな」くらいにしか思っていなかった。あらためてアフィリエイトの仕組みを調べてみると、「閲覧・クリック・商品購入/サービス申し込み」の3段階で収入を得られるタイプがあると知った。

一般的に連想するアフィリエイトサイト、健康食品や脱毛器を販売しているような、いかにも商売っ気のあるサイトはたいてい成果報酬型だ。ユーザーがバナーをクリックして商品を購入すると、数パーセントの手数料がサイト運営者の懐に入る。

一方、ニュースサイトや個人のブログで多く使われているのは、インプレッション型とクリック保証型だろう。広告が表示されて見られるか、クリックした時点で収入が発生する。こちらの方は、新聞や雑誌に差し込まれている広告に近いので、まだうさんくささは少ない。

アフィリエイトの仕組みを知るには自分で試してみるのが早いだろうと思って、仕事上の調査も兼ねてブログを始めてみることにした。

WordPressとはてなブログを併用

新規サービスのためのサーベイという名目で始めた3回目のブログ。無料のウェブサービスと最近のCMSを両方試してみようということで、はてなブログとWordPressを2つ立ち上げてスタートした。内容的にもテーマを絞った記事と、無節操な日記ネタで差をつけてみることにした。

会社の方は所詮付け焼刃で広告事業の方は尻つぼみになってしまった。ブロガーやアフィリエイターとして関わるのは悪くないが、プラットフォーマ―としてサービス提供側に回るには遅すぎた。そもそも会社の思考がコンテンツ寄りなので、インフラ事業には向いていなかったともいえる。

個人的には、今では天職ともいえるブログに取り組むきっかけを与えてもらえて、会社に感謝している。これまで何度も挑戦してきて、やっと本腰で取り組む契機になった理由の一つは、ブログを安定して執筆できる技術インフラがようやく整ったからだと思う。

技術の熟した今こそチャンス

ここ15年ウェブ業界の変遷を振り返ってみると、ブログが流行った背景にPCの性能アップやツールの進化が寄与した部分は大きい。同じCMSでも、Movable TypeからWordPressに乗り換えてみると、記事の編集からウィジェットの配置まで、ユーザビリティーが大幅に向上していると気づく。

2008年に話題になったARアプリのセカイカメラも、スマホの処理能力が追いついた8年後に出ていればポケモンGOのお株を奪えたかもしれない。VRのデバイスが普及すれば、再びセカンドライフが流行ってもおかしくない。今さらブログに参入しても遅いと思う人もいるかもしれないが、枯れた技術だからこそ先人の功績を享受して効率的に続けていくことができる。

Movable TypeやSeesaaを一通り試してきたおかげで、現在のWordPressとはてなブログの併用スタイルに辿り着いた。ブログに関して初期投資はほとんど不要なので、興味があるなら案ずるより産むが易し。手っ取り早く無料ブログで執筆を始めてみてはどうかと思う。性に合えば、老後まで長く続けられる実益を兼ねた趣味になるだろう。

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