小規模企業共済を解約してわかった真実~退職金の税負担と納付月数の誤解

中小企業経営者向けの節税メソッドとして定番の小規模企業共済。会社の節税というより、個人の所得税に対して控除を受けられるというルールだ。

数年間の掛金納付と共済金受け取りまで一通り経験したのだが、最後に思いのほか税金を持っていかれて驚いた。さらに別の会社を始めたので、もう一度加入しようかと思って中小機構に問い合わせたが、しょぼい金額でせこせこ積み立てを始めても意味がないとわかった。

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解約時に税金がかかる

前の会社にいたときに、小規模企業共済に数年間加入していた。毎月7万円、満額の掛金を積み立てていたので、年間で84万円分の所得控除を受けられた。個人型の確定拠出年金(iDeCo)は、社会保険加入の会社員で月額23,000円が上限なので、それに比べれば税金控除のメリットは大きい。

その後、退職にともない共済を解約。任意の退任ということで「準共済金」に相当したので、任意/機構解約の「解約手当金」のように、「納付20年未満で元本割れ」ということはなかった。ただし一括で受け取ると退職所得の扱いになるので、会社の退職金と合わせて相当な額の税金を取られた記憶がある。

一般的に退職金は節税に有利といわれるが、勤続年数によって引かれる控除額は微々たるものだ。そこからさらに1/2控除されても、全体の10%くらいは取られた気がする。

むしろ退職金には「社会保険(健康保険・厚生年金)がかからない」というメリットの方が大きい。正確にいうなら、節税よりも社会保険の負担がない分、給与やボーナスより有利という感じだ。

退職金にかかる税金は少なくない

中小企業倒産防止共済の契約申込書と一緒に、中小機構から小規模企業共済のパンフレットも取り寄せてみた。

「毎月の掛金が所得税から控除されるのでお得」というアピールだが、受け取り時に取られる税金については一切触れられていない。注意書きで小さく「※一括受取の場合は、退職所得扱いとなります」と記載されているだけだ。

多くの人にとっては退職金など人生で一度しか体験しないイベントで、将来の控除額や税率を試算することもないだろう。「退職金=節税に有利」という短絡思考でなく、「それなりに大きな金額に対して、1割くらいは税金で持って行かれる」と認識しておいた方がいい。

それでも通常の給与よりは控除が大きいのでまだまし…さらに社会保険料を取られないのはもっとうれしい、というのが本当のところだ。

小規模企業共済だけでなく、iDeCoも受取時の退職金にかかる税金については説明が少ない気がする。国が用意してくれるありがたい節税サービスだが、賢明な消費者としては慎重に検討したい。

掛金の納付期間は重要だが…

新しく立ち上げた会社の売上は少なく、給与も毎月5万に設定して源泉徴収ゼロにしてある。そもそも控除すべき所得税がないので、今は小規模企業共済に入るメリットがない。会社の節税のため、「40ヵ月の掛金納付でいつでも引き出しOK」と、コントロールしやすい経営セーフティ共済を駆使している。

将来的に利益が出て給与を増やそうと思ったときに、また小規模企業共済のお世話になるかもしれない。こちらは納付年数が長ければ長いほど受け取り額が増えて有利なので、低額でも早めに申し込んで実績を作っておいた方がよいかと思った。

掛金は最低1,000円から始められるので、直近の所得税控除には意味がなくても、納付期間だけ稼いでおくのはありだ。ただし、儲かってきたから途中で掛金を大幅に増やすというのはOKなのだろうか。何となく不安なので、納付掛金と月数の関係について中小機構に問い合わせてみた。

低額で納付月数だけ稼いでも意味なし

回答としては、「掛金を増やしたら、増額分はその時点から納付月数が再カウントされる」とのことだった。すなわち、最低額で納付期間だけ稼いでも、受け取れるのは毎月千円の掛金分だけ。途中から増やした分は、そこから納付期間が計算される、という解釈だ。

ウェブ上で「毎月1,000円だけでいいから、納付期間を稼いでおけ」という記事を読んだことがあるが、実情は少し異なるので注意が必要だ。結局のところ、毎月数万円とかまとまった金額を投資できるくらいになってから共済に加入した方が、手続きの手間が少ないといえる。

個人事業や会社を始めたからといって、諸々の共済制度に焦って加入する必要はない。ある程度利益が出て、節税について考えられる余裕ができてから検討すれば十分だろう。

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