在庫限り!エレコムの超コスパ高い1万以下ハイレゾ対応ヘッドホン

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素晴らしいクオリティーだが高価で手が届かないBOSE製品に代わって、予算2万円以内、ミドルレンジ価格帯のヘッドホンを探していた。

ヘッドホンの視聴コーナーが充実している、ヨドバシカメラの新宿西口本店などで各社製品を聴き比べた結果、1.6万円くらいで購入できるパナソニックのハイレゾ音源対応、RP-HD10がベストに思われた。

ソニーやオーディオテクニカの同等品に比べてまったく遜色ない品質なのに、メーカーがパナソニックだからか実売価格3割引きくらいで購入できる。廉価版のRP-HD5も評価が高いが、上位機種のRP-HD10の方がさらにコストパフォーマンスが高いと、ウェブのレビューではもっぱらの評判だった。

偶然見つけたエレコムのハイレゾ対応ヘッドホン

購入候補が二転三転してRP-HD10を買おうと思ったのだが、ヘッドホンのフロアをうろうろしていると、ワゴンセールのコーナーに置かれていたエレコムのヘッドホンが目に入った。8,000円くらいの値段だったので、エレコムにしては強気な価格設定だなと思ったら、なんとハイレゾ対応である。

店頭にあったのは、エレコムのEHP-F/OH1000ASVというモデル。手持ちのスマホに端子を差して視聴してみたら、音質も悪くない。先ほどまで聴き比べていた「ハイレゾ御三家」の3製品に引けを取らないのに、価格は半額以下、いや、MDR-1AやATH-MSR7に比べれば1/3程度だ。

視聴用のリファレンス曲として、Fripp & EnoのBeyond Even (1992-2006)、5曲目の”Behold The Child”でボーカルの微妙なささやき声が鮮明に聞こえるかどうかを基準としている。

現在、自宅で使用中の激安ヘッドホンはこれが聴こえない。だが各社製品を聴き比べて、おおむね5,000円以上のものなら問題なく聴きとれたので、少しお金を出せば最低限の品質は手に入ると思う。むしろ1万、2万と予算を上げても、それ以上の違いを自分が感じられるかどうかは怪しい。8,000円のOH1000ASVは、もちろん基準をクリアしていた。エレコムの外観は他社製品に比べるとプラスチック感丸出しでチープだが、その分、驚くほど軽いのも好印象だ。

ハイレゾ対応なら基本機能もすぐれているという仮説

ハイレゾ機能自体に興味はなかったが、パナソニックの製品群を聴いてみて、「ハイレゾ対応をうたった機種は、ヘッドホンとしての基本的なつくりもよい」という仮説を思いついた。

現在の国内メーカー、ハイレゾ製品の価格帯は2万円近くだが、値段相応にハイレゾ機能以外の部分もよくできていると思われる。そのため、音源の購入からプレーヤーまでわざわざハイレゾ対応で揃えず、これまでリッピングしたmp3をスマホから再生するだけでも、高級ヘッドホンの恩恵を受けられると仮定できる。

EHP-F/OH1000ASVの型番違い製品が多数存在

意外とよかったエレコム製品のラインナップを調べてみた。店頭で視聴したシルバー色のEHP-F/OH1000ASVには、ど派手なゴールドカラーのEHP-R/OH1000AGDも存在する。

さらにマイク付きのEHP-F/OH1000MSVもあり、なぜかこちらの方が定価税込13,435円でマイクなしモデル(16,308円)より安かったりする。

頭にEHP-FとEHP-Rがつくバージョンがあり、価格も違うので混乱するが、調べたところ販売店・流通経路による型番の違いだけで中身は変わらないとのこと。ならば無難に安い方を選べば問題ないだろう。

OH1000ASVの重量は180gと、このサイズにしてはかなり軽量な部類だ。実際に試して、他社ハイレゾ製品よりも格段に装着時のストレスが少ないと感じた。43mmサイズのドライバーユニットにチタンコートの振動版、イヤーパッドのカバーは合皮だが、上位機種では標準の低反発クッションが採用されている。

振動板がLCPフィルムの上位モデルEHP-R/OH2000ABK

OH1000ASVについて調べていると、上位モデルのOH2000ABKが存在することがわかった。スペックを見る限り、ドライバーの振動板が液晶ポリマー(LCP)フィルムという素材で性能強化されている以外は、OH1000シリーズと共通なようだ。重量も同じ180gで、インピーダンスや再生周波数帯域も変わらず。

OH2000は家電屋で見たことがなく視聴不能。肝心のLCPフィルムがOH1000のチタンコート振動板よりどの程度すぐれているのかは比較できない。しかし、検討候補だったソニーのMDR-1AがLCPを振動板材料に採用しているので、ハイエンドな素材であることは間違いないだろう(ソニー側はLCPをさらにアルミニウムでコーティングしている)。

MDR-1Aの再生周波数帯域が3~100,000Hzと凄まじく広いのに対して、エレコムは20~40,000Hz。振動板の基本素材が共通とはいえ、ソニー側は「LCPとアルミニウムの相互作用により全帯域で高くフラットな内部損失特性を実現」とうたっているので、ドライバーユニとに数々の工夫が施されているのだと思う。

エレコムのOH1000/2000シリーズは実売1万円以下

振動板の素材に関するうんちくは、まあどうでもいいという感じだが、OH2000の精悍なブラック色が結構気に入った。こちらも型番が複数あるのだが、いずれも税込定価は24,624円でOH1000よりは1万円くらい高い。

ただし、アマゾンの販売価格では最安のEHP-R/OH2000MBKが8,500円で、下位機種のEHP-R/OH1000ASVと千円くらいしか変わらない状況だった。ちなみにEHP-R/OH1000MGDのゴールド色は派手すぎて人気がないのか、5,000円台でたたき売られている状態だ。

OH1000/2000シリーズとも、エレコムの公式サイトでは「在庫限定」と表示されている。現在流通している在庫が掃けたら二度と市場に出回ることはないと思うので、コスパの高い隠れた名機をお求めなら、速攻注文した方がよいだろう。さらなる上位のヘッドホンを開拓する前に、取りあえず格安のエレコムハイレゾ製品で耳を鍛えるのもよいかと思う。

EHP-R/OH2000MBKを購入、使用感レビュー

ヘッドホンについては散々迷ったが、ハイレゾ対応で音質も悪くなく、圧倒的に低価格のエレコムEHP-R/OH2000MBKをウェブから購入した。送料・税込みで8,000円台で買えた。届いたパッケージはすっきりしたデザインで、エレコムの意気込みを感じさせる。定価2万円台の製品としては悪くない。

開封すると、ヘッドホン本体とポーチ、説明書が収まっているだけの簡単な梱包だった。このあたりはApple製品のようなギミックはない。外箱などすぐ捨ててしまうのでまったく問題ない。BOSEのように、かさばるわりに使えないハードケースが入っていたりしないのは逆に好感が持てる。

コードは左側からの片出しで、PCはデスクの左側に置いてあり、ノートPCもヘッドホンの出力端子が左側面なので、ケーブルがこんがらがらず助かる。この点、AKGの製品はなぜか片出しコードがハウジングの右側から出ていて不便だったりする。

両側面にはメタルパーツでELECOMのロゴが誇らしく輝く。これのおかげで実売価格がソニーの1/3なのだろう。誰もエレコム製のヘッドホンが定価2万超だとは思わないはずだ。

イヤーパッドはBOSEでいうとOn-Ear型とAround-Ear型の中間くらいのサイズである。耳を密閉して遮音性を高めるには問題ない大きさだが、耳たぶ全体がすっぽり覆われず若干締め付けてくるかたちになるので、数時間連続使用しているとさすがに低反発パッドとはいえ耳が痛くなってくる。

まあ映画を2時間くらい観てもさほど違和感はなかったので、通常利用の範囲では特に問題ないだろう。BOSEほどゆるゆるではないが、締め付けがきつすぎるということもない。

LRの表記はバンドの裏側に小さく書いてある。コードが片出しなので、特に表示を確認しなくても左右かけ間違えることはないと思う。

ハウジングを折りたたむとかなりコンパクトになる。このままかばんに入れて外で使っても、まあ問題ないサイズだろう。ただ、家で使っているとたまに折りたたみ部分に指を挟んで痛いときがあるので、あえて折りたたみできないオーディオテクニカのATH-RE700とか、意外とありだったかもしれない。

ケーブル端子はL型の金メッキ。このあたりはハイエンド機としては標準装備である。ケーブルもちょっと太めで曲がりにくく、絡まりにくそうな素材で覆われている。中身は「銀コートOFC高純度銅線」で、独立分離化した4線仕様により左右間の静電/電磁ノイズを減らす効果があるらしいので、期待も高まる。

しばらく使っていて、左右ハウジングのヒンジ部が、シルバーとくすんだ緑色でメッキが塗り分けられているのに気付いた。ここを見ながら左右を確認することは少ないと思うが、微妙なところにこだわりを見せる、エレコムのデザイナーに感服した。

静かな室内でじっくり音楽を聴いてみたが、スマホでもPC再生でも、これまで使っていたひどいヘッドホンよりは各段に音の解像度や広がりが向上した感覚がある。

ヘッドホンに数千円投資するだけで、日常生活がこれほど豊かになるなら、もっと早く買い換えればよかったと思う。3万円を超えるような高級品だと、さらに音も良くなるのだろうか…とか考え始めると泥沼にはまりそうだが、当初の目的だったBOSEクオリティーのヘッドホンを8,000円台の格安で入手できたので、大満足な買物だった。

エレコムのBluetooth対応ヘッドホンも捨てがたい

郊外のビックカメラでエレコムのBluetoothヘッドホン、LBT-OH05シリーズ(ブラック/ホワイト色あり)を見たことがある。バッテリーを積んでいるのに重量98gと恐ろしく軽い。そのわりに連続再生時間は14時間以上あってBluetooth Class1で接続も安定、基本スペックは文句ない出来だ。

ブラックモデルはヘッドバンドの赤色が微妙だが、オープン価格でアマゾンの販売価格は驚きの3,000円。サイズ感的に競合製品はAKGのY45BTあたりだが、そちらは1万円以上の高級製品で、やはりここでもエレコムのコストパフォーマンスが際立つ。

この価格と軽量・コンパクト仕様なら、外出用にLBT-OH05を買い増してもよいかもしれない。Bluetoothを使ってワイヤレスで音楽を聴けるのは、屋外の移動中にはやはり便利だ。エレコムサイトによるとLBT-05も在庫限定品なので、興味のある方はお早めにどうぞ。

フミヤも認めた「意外にいい音、エレコム」

今回の買物で感じた印象は、まさにこのキャッチコピーの通りだ。LANケーブルや安いマウスでオフィス内にエレコム製品は溢れているが、高価格帯のヘッドホンも意外とよくできていると思った。

エレコムは今後ハイエンドのオーディオ製品に進出していくつもりなのか、コーネリアスや藤井フミヤの大物アーティストを宣伝に起用して、インタビュー記事をアップしている。

ただ、よく読むとコーネリアスは「ふーん、なるほど」という素っ気ない感想で、藤井フミヤはエレコム製品に言及すらしていない。「後編は12月1日公開」とのことなので、後編でフォローするのかもしれないが、「ハイレゾなんて関係ない」とかが本音だったらおもしろいと思う。