東京の御岳山、御師集落にあるユースホステル嶺雲荘、宿泊レビュー

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東京都内からケーブルカーで気軽にアクセスできるパワースポットとして、高尾山に次ぐ人気の御岳山(みたけさん)。はじめて山頂の宿坊(嶺雲荘ユースホステル)に泊まってみた。

以前、宮古島のユースに連泊するため、モンベルが発行しているコラボカードに入会していた。更新年会費は2,200円だが、その後ユースに泊まったりモンベルで買い物する機会は減ってしまった。今年で解約する予定なので、最後に近場のユースに泊まって割引を受けてみようと思った。

御岳山にある嶺雲荘は、ユース会員なら朝夕食含めて5千円弱というリーズナブルな価格で宿泊できる。たまたま他にお客さんがいなかったということもあり、8畳の広い個室でのんびり滞在させていただいた。

JR御嶽駅からケーブルカーまで歩く

都心から御岳山へは、中央線~青梅線を乗り継いで最寄りの御嶽駅までアクセスできる。そこからケーブルカーの滝本駅までは2kmくらいあり、バスを利用するのが普通だ。途中でかなり急な坂を上ることになるので、体力に自信がなければ素直にバスを使った方がいい。

今回は山頂で一泊するゆるいスケジュールだったので、御嶽駅から滝本駅まで歩いてみた。これまで御岳山の登山口へは自転車でしか向かったことがないので、駅から歩くのは初めてだ。

駅前から青梅街道を西に向かうと、途中で御岳山へ向かう案内板が出ている。ここから多摩川に下りると、神路橋という吊り橋を渡って最短経路でアクセスできる。

一方、御嶽駅前から渓流沿いの遊歩道へ下りるルートもあり、少し遠回りになるがこちらの方が渓流の雰囲気を楽しめる。

吊り橋の先に鳥居のあるT字路があり、ここからずっと道なりに進む。途中から長い急坂になり、休日は車やバスの往来も激しいので注意。ケーブルカーの滝本駅にはトイレや売店、自販機が充実しているので一服できる。

ここから歩いて上る参道は杉並木が見事だ。全面舗装されていて、高尾山の一号路と同じくらい歩きやすい。

車やバイクとのすれ違いで道をゆずるのは少々面倒だが、ケーブルカーで素通りしてしまうのがもったいないくらいの登山道。

勾配は序盤がきつく、徐々にゆるくなる。普段着・スニーカーのまま、1時間もあれば踏破できるルートだ。途中にいくつかある名所・旧跡の案内板も充実しており、観光要素もある。

山頂にある御師集落

御岳山の山頂付近、標高800~900mのあたりに不思議な町がある。江戸時代から存在した御師集落の名残で、今は水道も引かれて普通に人が暮らしているようだ。

住所は東京都青梅市で、郵便や宅急便も普通に届く。ちょうど地方選挙の前だったので、候補者が掲示されていた。街中には茅葺屋根のカフェや、老舗の蕎麦屋もあったりする。別に山小屋という雰囲気でもなく、普通に食事したり寝泊まりできる施設がある。

今回予約したのはユースホステルの嶺雲荘。神社に向かうルートの途中にあり、前から気になっていた宿だ。紙垂のかけられた古い門構えだが、中は最近改修されたのかトイレもお風呂も予想外にきれいだった。

4月は「講」という信仰組織の人々が山に集まるらしく、どの宿坊も混んでいるようだった。たまたま嶺雲荘は自分ひとりだったので、2階の広い8畳間を貸し切りで使わせてもらえた。

ユースホステルといえば相部屋が標準なので、これはうれしいサービスだ。

嶺雲荘のサービスはお値段以上

山頂の入り組んだ路地にある嶺雲荘は意外とキャパが広く、3階建てで宴会のできる大広間もある。1階には小規模ながら浴場もあり、湯船につかってゆったりできる。

そして夕食は焼魚や山菜を中心に、ご飯もおかずも盛りだくさん。朝食のおかずは刺身こんにゃくと長芋、目玉焼きだった。

これだけの設備と食事で、ユース会員なら2食付き4,950円(税込)という驚きの低料金。個室利用料の1,000円はサービスしてもらえた。館内にはWiFiも完備されている。

温泉こそないが、都心から一泊旅行できるスポットとしては穴場ではなかろうか。ユース会員でないとプラス600円だが、それでもこの立地とサービスからすればリーズナブルに思われる。

七代の滝、綾広の滝には辿り着けず

時間に余裕があったので、神社にお参りしたついでに長尾平の先まで歩いてみた。まずは七代の滝まで下りてみようと思ったが、地図にも「急坂」と書かれているとおり、かなりの急勾配だ。

半分くらい下ったところで滝の音が聞こえてきたが、まだ先は長い。ちょっと膝が痛くなってきたので、登って戻る苦労を考えて引き返した。

次にロックガーデンと綾広の滝を目指して歩いてみた。こちらは先ほどよりずっとなだらかな道で、苦労せず歩ける。路面も安定しているので、ちょっとしたハイキングにはおすすめだ。

ただしこちらも、時刻が16時を過ぎると暗くなってきてしまった。日没は18時過ぎだが、林の中はもう日暮れの雰囲気だ。

念のため懐中電灯は持ってきたが、わざわざライトを照らして登山したい気分でもない。初めて来た道でもあるので、安全のため途中で引き返すことにした。

長尾平からの眺め

目的の滝は2つとも拝めなかったが、帰りに長尾平の展望台に寄って一服した。冬場、空気が澄んでいれば都心の高層ビルも見えるロケーション。今日は晴れていたが、眺望はそこまででもなかった。

武蔵御嶽神社から長尾平までの道は未舗装だが、普通のスニーカーでも歩けるくらいだ。せっかく神社にお参りしたら、少し足を伸ばして展望台まで行ってみると登山気分を味わえる。

御岳山の魅力は、電車・バス・ケーブルカーを乗り継げば、ほとんど歩かずに山頂の集落までたどり着ける点だ(そこから神社までは少し坂と階段がある)。南にある高尾山より標高は330m高いが、交通機関を駆使すれば楽にアクセスできる。

山頂の集落には今回紹介した嶺雲荘のほかにも、魅力的な宿がいくつもある。講に所属するほどでもないが、今後も通って開拓していきたいと思った。