G303からスカルプト・エルゴノミックへのマウス乗り換えレビュー

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ロジクールのゲーミングマウスG303が突然壊れたので、久々にマウスを買い替えた。最新のゲーミングシリーズや、MX Verticalという新製品も気になる。家電屋の店頭に試しに行ったところ、マイクロソフトのスカルプト・エルゴノミックというマウスが気になり、握り心地を新境地を開拓できそうな期待をもって購入してみた。

ゲーミングマウスは汎用性がある

FPSのゲームはやり込むと際限がないので、最近は自粛している。握りやすくトラッキング精度の高いゲーミングマウスは、普通に事務作業に使っても快適だ。DTPやCG制作でも間違いなく実力を発揮する。

ロジクールのゲーム用マウスは、数世代前から使い続けてきた。たまにエレコムのよさげなマウスも試してみたが、コントロールの精度を最優先するとやはりロジクールに落ち着く。G303は最近のゲーミングシリーズの中では大人しめのデザインだが、高精度の光学センサーを搭載していて、生半可なレーザー式より反応はよい。

左右対称で癖のないオーソドックスな形状。LEDも付属ソフトで消灯できるので、特にゲーム用と意識することなく2年間、快適に利用できた。今どきオフィス用途ではマイナーな有線式なのもありがたい。

最近の無線やBluetoothもだいぶ良くなったと思うが、わずか1%でも信号の取りこぼしや遅延があると我慢ならない。いろいろ試してきたが、最近はマウスもヘッドフォンも有線に戻している。

ロジクールG303の壊れ方

G303の異変は、まず親指ボタンから出てきた。ブラウザやフォルダの「戻る」操作が便利でよく使うのだが、勝手にダブルクリックされて2段階戻ってしまう。作業上、この機能は必須でないので、キーボードのバックスペースキーで代用して数か月済ませてきた。

昨日あたりから、今度はマウスの左クリックも1クリックでダブルクリック判定されるようになってしまった。ソフト側で設定を変えてみたが改善されないので、ハードウェア的な問題だと思う。

さすがにすべてがダブルクリックになると、画像の加工はおろか、テキストの編集もままならなくなる。家にある代用品は出張用のコード巻取り式小型マウスだけで、そもそもPCのUSBポートまでケーブルが届かない。

5,000円以上する高価格帯のマウスが、わずか2年で壊れるとは残念だ。ゲーム用に無理して軽量化したり、繊細すぎるチューンナップが施されているのかもしれない。旅先にも持って行ってがしがし使っていたので、ダメージがたまって寿命を縮めてしまったのだろう。

事務用有線マウスM500tは健在

名器といわれるマウスでも、製品サイクルにより数年で廃版になってしまうのが悲しいマウス業界。G303が型落ちで安く手に入ればいいなと思ったが、製造中止で逆に数万円ものプレミアムが付いている。手持ちの故障機を有償修理して、中古で転売した方がお得に思われるくらいだ。

一方、同じロジクール製品の中でも、M500tという5年くらい売られ続けている長寿製品もある。実売2,000円台なのに、有線・レーザー・サムボタン搭載と自分の好みが押さえられた良品だ。仕事用・自宅用・スタッフ用と、これまで3個は買った気がする。

やはり事務用マウスのカテゴリーでも、有線式を好むユーザーが一定数はいるのだろう。今でもガラケーが売り続けられているように、有線マウスも並行して改良を進めてほしい。もし会社で適当に割り当てられた1,000円くらいの格安マウスを使っているなら、M500tに乗り換えると3倍くらい幸せになれる。

ゲーミングジャンルの方に有線式が多いのは納得できる。わずかなエラーが命取りになるプロの世界では、多少かさばっても有線式が安心なのだろう。また、電池やバッテリーを内蔵しないことによって、軽量化できるという明らかな利点も存在する。

最高級の新製品MX Vertical

ロジクールとしてはめずらしいエルゴノミック形状だが、MX Verticalという新製品に興味を持った。明らかに異様な巻き貝みたいな形で、人間工学的なアプローチに対する本気度がうかがえる。

これまでの高級ラインAnywhereシリーズも、握りやすさにはこだわっていたが普通のマウスという域を越えなかった。今回の巻き貝マウスは、トラックボール式でもない新しいエクスペリエンスを提案しようという意欲作に感じられる。

1.2万はする最高級品なので、さすがに実機を触らず注文するのは怖い。とりあえず近くの家電屋に行ってみたら、8月に発売されたばかりの新製品とあって、ヤマダ電機にもビックカメラにも展示してあった。

腕に障害があるなら最適

手で触った感じは、コンセプト通り57度の傾斜角がしっくりくる。自分はたまたま右ひじにけがの後遺症があって、手首が内側に回転しにくい問題を抱えている。専門的に言うと、橈骨が亜脱臼したままで回内角度が健側の半分くらいしかない。通常のマウスやキーボード操作には、必然的に右肩を持ち上げてカバーする余計な動きが入る。

左利き用マウスと同じく、まさに関節障害者向けの医療用品に見えてきた。クリック方向が斜めなので少し違和感を覚えるが、斜めに握れるフィット感に比べば微々たるデメリットだ。自転車のハンドルも、腕を伸ばして自然に握れるドロップ型やブルホーンが好みなので、きっと自分には合っていると思う。

MX Vertical

MX Verticalは上部のフラットなパネルを際立たせるために、使用感を少し妥協したのではないかと思う。握り心地は良いが、サムボタンの奥側に親指が届きにくく、押そうとすると反作用で人差し指で左クリックしてしまう問題があった。

マイクロソフトのエルゴマウスが安い

ついでに他の製品もチェックしてみたら、マイクロソフトからコロンとした丸っこい形状のエルゴノミックマウスが出ていた。Sculpt Ergonomicという製品で、見た目はMX Verticalよりミニマムでかっこよく感じる。

Sculpt Ergonomic

もちろん、エルゴノミック・デザインの真価は見た目だけでは測れない。Verticalに比べるとやや小型で、Bluetoothでなく無線接続しかできないのも気になる。その分、お値段は控えめで、ビックカメラでも税込5,000円ちょっとだった。

マイクロソフトのハードウェアは昔から人間工学にこだわっていて、あのぐにゃっと歪んだキーボードを愛用している先輩もいた。スカルプトも5年前に発売されたロングセラーで、度々店頭で見かけては気になっていたふしもある。

MX Verticalは発売直後で通販でも値下がりしていない。たまたまビックカメラの株主優待券が届いていたので、ビックSuicaカードでたまっていたポイントと合わせてスカルプトなら買える。長期保有の特典で、最低100株だが2,000円分の商品券をもらえた。

MX Verticalの形状はちょっとアバンギャルドすぎる。購入前に練習するエルゴマウスとしては、スカルプトが手ごろだ。手首の傾斜角を観察してみると、普通のマウスとバーティカルのちょうど中間くらい。汎用品から乗り換えるには、かえってこのくらいの角度の方が違和感ないように感じる。

無線&光学式で精度はいまいち

さっそく自宅のPCにつなげてみて、ロジクールよりMSのマウスが安い理由が分かった。センサー部分が青色LEDなのだが、これまで使っていたG303に比べると感度がかなり劣ってしまう。

USBのアダプターを介した無線接続なのも、原因のひとつと思う。4Kディスプレイはソフトによってボタン類のUIが小さくなってしまうが、最後の微妙なところでカーソルがピヨッとずれると非常にストレスを感じる。テキストをコピペしたり検索をかけたりしようとするときも、範囲選択がうまく決まらずイライラする。

4Kの解像度だと、OSの設定でポインター速度を最大まで上げても若干動きがのろい。別のマウスをつなげたら今度は速すぎる感じだったので、相性みたいなものがあるのだろう。

MSのマウス設定ソフトを落としてみたが、ロジクールのようにマウス感度の設定項目まではないようだ。

上側の目立つWindowsボタンは、想定通り「ブラウザの進む」を割り当てできた。ボタンの機能やマクロ割り当てに関しては、ロジクールと同じくらい充実している。

親指ボタン「戻る」の位置は最高

スカルプトは親指の「もどる」ボタンが、今まで試したマウスの中でベストといえる位置に置かれている。マウスを握ったまま、ほかの指で後ろから支えることなく親指の腹で隠されたボタンを押し込める。これはMX Verticalより明らかな利点だ。

しかし青いWindowsボタンで「進む」しようとなると、上方への親指の大移動が必要になる。通常は「進む」より「戻る」の方を多用するので、さほど問題はないともいえる。

内部に単3電池が2本入っていて重いのも不満だ。実測したら、電池を入れた状態で157gもあった。

先ほどまで握っていたG303は、ケーブル抜きでわずか83g。

重量が約2倍に増えたので、さすがに持ち上げて動かす際に違和感を覚える。

右手でマウスを吹っ飛ばす問題

独特のエルゴノミック形状で背が高いため、右手をキーボードからマウスに戻す際、よく手がひっかかる。数時間使ってまだ床には落としていないが、注意しないと高確率でふっ飛ばしそうだ。この重さによる慣性力と丸型形状もあいまって、玄関先まで転がっていくに違いない。

逆に薄さを究めたウルトラスリムタッチのT630は、お世辞にも握りやすいといえない。見た目だけならApple製品に通じるグッドデザインなので、惜しいところだ。

モバイル用途でノートPCのスリーブに滑り込ませるには便利なマウス。慣れればジェスチャーで「戻る/進む」もできる。のっぺりしたマウスの真ん中を押すと、一応中央ボタンとして機能するのだが、当たり判定が際どいので3次元CGの細かい編集には向かない。もっぱら事務作業用と割り切って使っている。

MX Verticalはスカルプトより背が高い分、確実に腕の動作の妨げになりそうだ。キーボードとマウスの往復運動をやめるには、トラックボールやThinkPadのトラックポイントが付いたキーボードを使うしかない。マウスの握りやすさと背の高さは相反しそうなので、なかなか難しい問題だ。

後継機G403も握りやすい

買ってすぐにトラッキング精度で不満を覚えたが、エルゴ形状を評価するためしばらくSculptを使い続けてみようと思う。その上で、高級機のMX Verticalにグレードアップするか、普通な形のマウスに戻すか検討してみたい。

マイクロソフトのマウスを買った後に、ロジクールの最新ゲーミングマウスに触れる機会があった。いつもの場所に1台も置いていなかったので、ビックカメラは取り扱いをやめてしまったのかと残念に思ったくらいだ。実はその反対で、ゲーミング向け製品を集めた特設コーナーにマウスもまとめていた。

写真を見て自分の握り方を比較すると、通常形状でもやや右側に寝かせて、かぶせて持つ癖があるようだ。やはりエルゴノミックな形状とは相性がいいように思われる。

G403

いくつか握って見た中で、比較的G303に近い形状の有線G403が良いと思った。特にサムボタンが大きめに改良されていて、G303より格段に押しやすい。価格は7千円前後なので即買いするのは避けたが、もし普通のマウスに戻すなら最有力候補だ。同じシリーズなので、基本のトラッキング性能も旧機種並みに高精度だろう。

以前もロジクールのウェイト調整できるゲーミングマウスを使っていたが、軽量性重視なので重りを入れることはなかった。LEDやウェイトの機能は省いていいから、これの半額でシンプルな事務用有線マウスを出せばヒットすると思う。

Anywhereマウスが型落ちで安い

MX Verticalの発売にともない、これまでロジクールの最上機種だったAnywhereシリーズが大幅値下げされている。モバイル版Anyehere 2Sには、黒や青だけでなく珍しいグレー色(白やベージュに近い)がラインナップされている。ちょうどDellの廉価ゲーミングノートGシリーズなど、明るめの天板色に合わせるとよさそうな色合いだ。

今では旧機種だが性能は間違いないはずなので、型落ちしたAnywhereを安くゲットする手もある。2Sが無線接続なのは気になるが、マウスはPCや作業環境との相性もありそうなので、買って試してみないとわからないのが難しいところだ。