e-Taxソフトのセットアップと法人税・地方税の電子申告・納税の流れ

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1年後にまた会社の確定申告を行う自分に向けて、e-TaxとPCdeskを使った最短の手順を説明しよう。以下は資本金1億円以下の中小企業、消費税は免税業者、赤字決算でかつ会期中に10万円以上の固定資産取得もなかった場合を想定している。

登記先は東京都内の市町村に1か所のみの前提。昔23区内に事務所があったときは、地方税の様式が少し異なった。ただし、各種書類の提出先が都税事務所一か所で済んだので、税務署と市役所が離れている今より手続きが楽だった。

e-Taxソフトの更新

1年ぶりにe-Taxソフトを起動すると、最初に各種のバージョンアップを要求される。税制や別表様式は細かいところが毎年変わるので、ソフトは最新版で作業するのが大前提だ。画面に出るダイアログボックスのメッセージを確認しながら、OK>OK>OKと3回くらいクリックすれば更新作業は完了する。

無事ソフトが起動すると、今度は「利用者ファイルの選択」という画面になる。去年も作業したはずだが、記録は残っていないようだ。「既存の利用者ファイル」というのもどこに保存したか定かでなく、新規作成することにした。

以前、税務署から送られてきた16桁の利用者識別番号と、利用者名に法人名を入れて保存。拡張子.nccの利用者ファイルがデスクトップに保存される。

e-Taxソフトは起動時にこれを参照するようなので、別の場所に移してしまうと「既存の利用者ファイル」が見当たらなくなってしまう。その場合は新しい場所にあるnccファイルを明示的に読み込ませれば大丈夫だ。

税目の追加インストール

メインのメニュー画面から、指示に従い作成>申告を選ぶ。しかしここで税目のプルダウンメニューがすべて空欄で、何も選べず先に進めなくなる。

※作成したい税目が表示されない場合には、税目の追加インストールが必要です。

下の方に書いてある注釈をヒントに、e-Taxソフトを再起動して「追加インストール」の画面を立ち上げてみた。ここで申告>法人税・地方法人税>平成30年4月1日以後終了事業年度分という項目だけチェックしてインストール。

ほかにも所得税や復興特別法人税など、必要に応じて税目モジュールのインストールが必要なようだ。今は必要ない消費税や酒税・印紙税など、関係ないデータを入れなくてよいので、PC容量にやさしい効率的な設計といえる。しかし最初にチュートリアル的な案内がないので、初心者はまずここでつまずくだろう。

追加が必要な帳票類

e-Taxソフトを再度立ち上げて作成画面を開くと、税目・年分がそれぞれメニューから選択できるようになっていた。

ここからさらに無数の帳票が表示されるが、今回必要なのはとりあえず一番上の「普通法人の確定申告(青色)」だけでよいはずだ。その中にはさらに細分化されたオプションが並んでおり、別表や内訳明細書などおなじみの書類がある。どうやらここから各書類を選んで、入力していけばよさそうだ。

今回の申告で記入した帳票は、最終的に以下の通り。

  • 別表1(1)…表紙
  • 別表2…同族会社判定
  • 別表4(簡易様式)…所得の計算
  • 別表5(1)…利益積立金
  • 別表5(2)…租税公課
  • 別表7(1)…欠損金
  • 別表15…交際費
  • 内訳書…預貯金、仮受金、借入金、役員報酬の4枚
  • 法人事業概況説明書
  • 適用額明細書
  • 財務諸表(XBRL2.1)

このうち「事業年度分の適用額明細書」は、該当する項目がなく空欄だったので、提出不要だったかもしれない。財務諸表は別途、フリーウェイ経理Liteから出力したPDFの決算書を見ながら、手動で転記する作業になる。

今後の申告で追加が必要になりそうなのは、「別表16(7)少額減価償却資産の明細書」くらいだろうか。期中に10~30万の固定資産を購入したら、全額経費にするために必要になる。

ちょっといいスペックのPCを買ったりしたら、10万は超えるだろう。最強CPU&GPUにメモリもSSDも全部乗せくらいのモンスターマシンでなければ、単体で30万超えることはないと思う。その場合は減価償却が面倒なので、限度額を超えないようパーツをばらして分散購入した方がよさそうだ。

作業の流れ

帳票に記入する順序としては、以下をおすすめしたい。必ずしもベストでないかもしれないが、数年取り組んでみてやりやすいと思った流れだ。

①e-Taxソフトでの作業

  1. 別表2…同族会社判定
  2. 別表15…交際費
  3. 別表5(2)…租税公課
  4. 別表5(1)…利益積立金
  5. 内訳書…預貯金、仮受金、借入金、役員報酬の4枚
  6. 財務諸表(XBRL2.1)
  7. 別表4(簡易様式)…所得の計算(途中まで)
  8. 別表7(1)…欠損金
  9. 別表4(簡易様式)…所得の計算(途中から再開)
  10. 別表1(1)…表紙
  11. 適用額明細書
  12. 法人事業概況説明書
  13. 法人税の電子申告(要マイナンバーカード)

別表のうち、独立して記入できるものから先に済ませ、赤字でも必要になる均等割りの税額を確定する。それを元に決算書を修正・確定して、内訳書を作りながら内容確認。メインの別表4と1を仕上げて、最後に概況説明書を作文するイメージ。

②PCdeskでの作業

  1. 地方税6号(法人事業税、地方法人特別税、法人都道府県民税)
  2. 地方税20号(法人市民税)
  3. 地方税の電子申告(要マイナンバーカード)
  4. 法人道府県民税の電子納税(2万、ゆうちょ銀行など)
  5. 法人市民税の手動納税(5万、銀行や市役所で)

PCdesk側で行う地方税の計算は、基本的に所得税が決まってからの作業になる。ソフトは別物で、e-TaxとPCdeskが連携できる機能は今のところなさそうだ。とはいえ、赤字続きで所得ゼロなら、地方税の方は2万と5万の均等割りだけ記入するのみ。6号と20号の様式は毎年コピペでいけるはず。

東京23区内に事務所があると、6号別表4の3みたいな追加書類も必要だったと思う。たいした明細書でないので、見ればすぐにわかるだろう。去年は役所からこの紙が送られてこなかったので、市町村では必要ないとわかった。

法人税の申告が難しいと感じる理由

個人の確定申告や白色申告は簡単に思えても、法人の税務申告は意外と難しいと感じる。その理由は別表の多さだけでなく、「決算書と別表を交互に行き来して編集する」という気持ち悪さだろう。

会計ソフトから出力される損益計算書には、税引前の利益しか出てこない。赤字でも住民税の均等割りが発生するので、計算後に未払法人税等の仕訳を1件追加して、税引き後の当期純利益/損失を確定する必要がある。といっても、赤字なら毎年税金は7万円とわかっているので、先に仕訳を入れて決算書を仕上げてもいいと思う。

続いて「別表2・15の記入」