法人成りのセーフティ共済承継は超面倒!会社作ってからの加入がベター

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個人事業の法人成りにともない、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)を法人に承継することになった。これまでの納付月数を引き継ぐには、ぜひともやっておかなければならない手続きだ。

セーフティ共済の掛金引き落としには、ゆうちょ銀行やネット銀行以外の口座が必要だが、MUFGに法人口座開設できて、なんとか最初の条件はクリアした。

 

法人成りの承継手続き

続いて「契約承継申出書(様式 中 501)」という書類を中小機構に送るわけだが、銀行と連携して様々な申請書類を揃える必要がある。

まず承継申出書の書式自体を、機構にフォームで問い合わせて郵送してもらう必要がある。「掛金月額変更申込書(様式㊥ 210)」程度のものなら銀行支店にも在庫があったりするのだが、承継申出書は常備されていなかった。ついでに必要になる、口座振替と口座解約の申出書も取り寄せておくとよいだろう。

承継申出書は記入例通りに埋めて、右ページ中ほどの事業譲渡証明書にサインすれば法人成りということになる。申請には登記簿謄本と印鑑証明書とだけでなく、共済契約締結証書の返却、事業譲渡契約書、遅延理由書、反社会勢力の排除に関する同意書と、山のような添付資料が必要になる。

個人口座の解約は窓口でしかできない

きわめつけに、個人事業で掛金引き落とししていた口座を解約するには、その支店窓口に出向かなければならないというルールがある。対象の個人口座は引っ越し前の渋谷支店だったので、わざわざ平日に電車賃をかけて銀行支店に行く羽目になった。妙な地方銀行や信金で納付していなくて、まだましだった。

渋谷支店で解約を済ませたあと、その書類を持って法人口座があるMUFG支店に行くと、ようやく承継申出書の申請ができるようになる。2期目は多少売り上げが増えそうな見込みなので、掛金月額も少し多めに変更しておいた。

これら一連の手続きが、各銀行窓口で史上初めてなのか相当レアなケースであるらしく、担当者が中小機構に電話して手続きを確認し、各支店で毎回30分以上待たされた。どのみち法人成りする計画なら、会社をつくってから共済に加入した方が、圧倒的に手間が少ないといえる。

それでもセーフティ共済は節税に有効?

セーフティ共済は小規模企業共済より受け取りに便利とはいえ、所詮は納税の繰り延べに過ぎない。

将来的に「某国ミサイル保険」とか、法人向けガン保険に代わる画期的な節税商品が開発されれば、使い道は増えるかもしれない。あるいは利息も付かない大金を中小機構に預けておくより、投資信託あたりで運用した方がメリットがありそうな気もしてきた。

翌月の共済掛金引き落としは手続きが間に合わずゼロ円だったが、翌々月から無事MUFG口座からの引き落としが開始された。新しい契約締結証書も受け取り、加入期間は引き継がれていたので、とりあえずは安心だ。

ニール・ディナーリ設計のMUFG渋谷支店

かつて個人・法人ともお世話になっていた、古巣のMUFG渋谷支店を久々に訪れたので、小ネタを一つ。ここのインテリアは米国人建築家ニール・ディナーリの作品である。国内ではピーチ・アビエーションのピンク色の機体をデザインしたことで知られているかもしれない。

1996年、TOTOギャラリー間のインタラプテッド・プロジェクションズ展は見られなかったが、90年代はザハ・ハディドと並んで、アンビルトの過激なイラストで有名だった。

a+uで特集されていたロサンゼルスや東京国際フォーラムのコンペ案とか、黄色や赤で着彩されたメカっぽいパースをカラーコピーしてバイト代をつぎ込んだものだ。当時は手描きだったと思うが、CADから出力したかのような超広角のカメラアングルがかっこよかった。

 

Neil Denariの作品を見られるということで、東京に出てきてさっそく口座を作ったMUFG渋谷支店。2005年に撮った写真では、夜になると外壁のライトが3色に変化して地味に目立っていた。

完成から10年以上経っているが、内部の設えはほぼオリジナルのまま維持されている。カウンターの下のパネルは、大き目のプチプチを挟んで裏から蛍光灯で照らしているが、全然安っぽく見えない。

柱の下の空調用の通気口や、ドアの取っ手など、いたるところが特注で隙間なくデザインされている。

クッションの固い直線的なシートは、まるで海外の空港のようだ。渋谷にいながら、そこはかとなく西海岸の香りを感じる空間で、長時間待たされても苦にならない。

本人のウェブサイトを見ると、MUFGの銀座や梅田支店も設計しているようなので、ぜひ見学してみたいものだ。機能的に意味なさそうな3次元曲面の木製パネルなど、今どき風の贅沢な演出に見える。施主や施工業者としてはあまり関わりたくないが、目の保養にはいい建築だ。