2017年Amazonプライムビデオで無料で観られた海外映画ベスト3

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Amazonプライムを解約して、しばらく平会員の身分に甘んじてきたが、ゴールドカード取得により再びプライムの世界に舞い戻った。

アマゾンプライムは「お急ぎ便無料」以外にも、Prime MusicやReadingなどなかなか特典が多い。12月のサイバーマンデーでは、会員割引で趣味のガジェットを割引購入できた。無料のプライムビデオで、未知のB級映画やテレビ番組を開拓するのも一興だ。ひとまず無料で視聴できた中から、意外と心に残った洋画ベスト3をピックアップしてみた。

プライムビデオに出てくる無料映画の傾向

話題の最新作はおろか、過去の大作も滅多に出てこないプライムビデオ。たまにスターウォーズや「君の名は」なんて作品もリストに出るのだが、そちらは有料レンタルなのでまぎらわしい。Google AdSenseの関連コンテンツのように、プライムビデオに有料サービスを混ぜてくるのは常套手段のようだ。

基本的に名作といわれる作品、またスターウォーズやディズニー、マーベルなど版権が絡みそうなシリーズは、ほとんど無料で観られないと考えてよい。

まれにアイアンマンの2008年版など単発で無料化されることもあるが、続編は有料なのでチョイ見せの宣伝という感じだ。レンタルDVDにテレビシリーズの第1話だけ無料でついてくるみたいなものだろう。

逆に、もう著作権切れではないかと思うくらい古い、40年くらい前の映画はたいてい無料で観られる。仁義なき戦いや極道の妻、ミッション・インポッシブルと007シリーズは不思議と充実しているので、任侠・スパイもののファンなら十分楽しめる。

プライムビデオで観るなら「興行収入の大きい誰もが認める大作」というより、やや通向けの佳作、史実系の地味な映画が狙い目だ。あるいはどうでもいいアクション映画をホームパーティーでだらだら流すとか、そんな使い方もできる。

何といっても無料なのだから、BGMのように映画を流しっぱなしにしても文句は言われない。

(以下ネタバレ)

1位『プラダを着た悪魔』

2006年のおしゃれな映画。マイ・フェイバリットな一作に挙げる人も多いのではなかろうか。ニューヨークが舞台の若者サクセスストーリーだが、同じファッション系の映画でも『ココ・シャネル』や『イヴ・サンローラン』よりわかりやすい。『ウォール街』の21世紀女性版といった作品だ。

どちらかというと主役より編集長役、メリル・ストリープの演技が冴える。中学生の頃に流行った海外版失楽園、『マディソン郡の橋』というエロ映画に出ていた記憶しかなかったが、本作では銀髪のクールな上司として存在感を放っている。

セーターの色に関する有名な1シーン

基本的に “That’s all.”という決め台詞しかしゃべらないが、たまに切れると表情は変えずに早口でセリフをまくしたてる。「セルリアン・ターコイズ・ラピス」というセーターの色に関して講釈を垂れる一コマは、シーナ・アイエンガーの『選択の科学』でも1ページを割いて引用されているくらいだ。

変身前の主人公のように、ユニクロやGUばかり着ている自分としては身につまされるシーンだった。どうでもいい薀蓄だが、いかなる業界にも突き詰めれば一般人の預かり知らないノウハウがあるように思う。

『マイ・インターン』での再演

「セルリアン」は編集長のファッションオタクぶりを印象付けるエピソードだが、プラダの続編といわれる『マイ・インターン』にも似たようなシーンがある。同じく相方のロバート・デ・ニーロが若い同僚にハンカチーフの意味を教える場面は、ミランダのパロディーと思われる。

The best reason to carry a handkerchief is to lend it…Women cry, Davis. We carry it for them. One of the last vestiges of the chivalrous gent.

“The Intern”

プラダを観て思い出した色彩検定

昔、冷やかしに色彩検定を受けた時にテキストで勉強した記憶がある。PCCSのトーン図などをひたすら暗記して、一級のマークシート試験はパスできた。

しかしもともと色覚異常のせいか、さすがに2次の実技は受からなかった。ただ、色弱でもどこまで通用するのかと、資格試験に挑戦してみたかっただけの感じだ。1次免除でも翌年は受験しなかった。

2位『ブリジット・ジョーンズ3』

お酒に酔った勢いで適当に選んで再生した作品が、意外とツボにはまったりする。『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』には一人で捧腹絶倒してしまった。

原題は”Bridget Jones’s Baby”なのだが、タイトルから赤ん坊は消えて何とも自嘲的な邦題にすり替わっている。『ワールド・ウォーZ』のようにイニシャルくらい残しておけば、謎めいてよかっただろう。正直このサブタイトルでは、おっさん一人で映画館に行くのはつらい。たまたまプライム特典で観られてよかった作品だ。

マネしたい”Happy birthday to me.”

同世代女性の自虐ストーリーは、おっさんから見てもなかなか興味深いものである。冒頭、一人で誕生日を祝って”Happy birthday to me”。酔っぱらってシャンペンをこぼしながら、マットレスの上を土足で飛び跳ねるブリグレットなオープニングには失笑を禁じ得ない。

基本的にはコメディーだが、「43歳でも高齢出産大丈夫」と根拠もなく勇気づけてくれる側面がある。結局前作から出ているボーイフレンドとくっつくだけで、モテ期というほどモテまくるわけではない。

英国紳士なコリン・ファースも共演

フェス会場で泥まみれになるとか、ATMの機械にカードをロックされて、さらに荷物丸ごと置き忘れるとか、そのリアクションが何ともほほえましい。『シングルマン』や『キングスマン』で英国紳士な役が型にはまっているコリン・ファースが、パートナーの敏腕弁護士として登場するのも見逃せない。

ちなみに『シングルマン』は物語中盤までホモ映画だと気づかなかったので、『ワールド・ウォーZ』にならって『シングルマンG』とでも改題した方が親切だろう。

アマゾンの有料レンタルでシリーズ前作を観るのは癪だったので、ゲオの株主優待で少し安くブルーレイを借りた。無料のプライムにない作品は、リアル店舗で借りた方がまだ安いときがある。

3位『遊星からの物体X』

名作とは認識しつつも、そのタイトルから何となく優先度が低くて今まで借りなかった作品。これも原題は”The Thing”とシンプルなのに、妙にB級な邦題が普及してしまっている。原題を知ったおかげで、FF5の最後に出てくる変な敵「シング」の元ネタだとわかった。

オープニングの「ドゥドゥン…ドゥドゥン…」というBGMが妙に耳に残る。まるでヒッチコックの『鳥』のように、南極基地の閉鎖空間で徐々に追いつめられる心理劇にフォーカスした、ミニマムなストーリー構成だ。

バイオハザードの元ネタ

エイリアンとETを合わせたような楳図かずお的クリーチャーは、「CGなしでもここまでできるのか」という驚異の職人芸を見せてくれる。ゲーム版バイオハザードの敵キャラは、ほぼ物体Xが元ネタだ。

80年代初頭のコンピューターが、どのようなスペックだったか見られるのも興味深い。意外とAI搭載のチェスなどは楽しめたようである。主人公がウイスキーをぶっかけて壊してしまうが、当時は何百万もした機材に違いない。

ブレアがPCを使って、全人類の同化時間シミュレーションを短時間で構築してしまうのは、かなりのスキルを伺わせる。この時点でブレアは「生きもの」に乗っ取られているのかは、いまだに謎である。同化してから地下でUFOをつくるまでには相当な時間が経過しただろうから、物語冒頭の早い時期からすでにThingにすり替わっていたと仮定してもおかしくない。

南極を舞台にしたホラーなので、夏に観た方が涼しめる映画だ。