かくてもあられけるよ

セミリタイアしてシェアハウスで暮らすノマドなミニマリストの株主優待日記

骨肉の争い、京都の一澤信三郎帆布と㐂一澤(きいちざわ)本店を探訪

帆布のバッグで有名な京都の一澤帆布。10年前ニュースになった相続問題を思い出す人もいるかもしれない。京都出張のついでに東大路通に並んで立つ、一澤信三郎帆布と㐂一澤の両店舗を訪ねてみた。

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創業家 vs 経営陣の仁義なき戦い

経営方針が合わずに株主総会で取締役が解任される、というのは株式会社でよく見られる光景である。最近ではクックパッドや大戸屋から、大塚家具から出光興産のような大企業まで、いつの時代もこの種のゴシップは尽きない。

傍から見れば、従業員や顧客の前でなんたるざまかと思うが、首が飛ぶかもしれない当事者からすれば必死なのだろう。「所有と経営の分離」が徹底されていればよいが、「物言う株主」が台頭してきたり、逆に経営陣がMBOを図るとかすると、たいてい血なまぐさい様相を呈してくる。

一澤帆布の場合は、偽造の遺言状が争点だったり、追い出された兄弟が別々に新店舗を開いたりと、どちらかというとワイドショーや週刊誌で好んで取り上げられたお家騒動であった。

偽の遺言状をもって乗り込んで来た長男に追い出された実質経営者の三男および職人が退社して別会社設立。その後の訴訟合戦で三男側が勝利して元の鞘に収まったが、今度は解任された四男も近くで店を立ち上げるという三つ巴の兄弟喧嘩。

人情的には、これまで経営に絡んでいなかった長男の分が悪いように思うが、それでも株式80%を相続すれば、社長解任や会社売却、特別決議でなんでもできる。あらためて「会社は株主のもの」という事実を思い出させる事件であった。

祇園に近い方の㐂一澤(きいちざわ)

四条河原町から祇園の繁華街を東に進んで、八坂神社の交差点を少し北に進んだあたりに四男がオープンした㐂一澤のショップがある。公式ウェブサイトの地図がわかりにくいが、八坂神社より知恩院側に結構歩く必要があった。

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店内はワンフロアで、帆布の鞄や小物が所狭しと吊り下げられている。続けて訪れた本家の一澤帆布より、小銭入れやブックカバーなど、廉価な小物の割合が多い。とはいえ一番安い小銭入れでも1,600円。一般的な布製品から連想される価格より2倍は高く感じる。 

新しくできた方なので、いろいろ工夫を凝らしているのかと思ったら、逆に本家に比べて柄物もなく、オーソドックスな製品が多かった。昔ながらの質実剛健な帆布製品を求めるなら、一澤信三郎帆布より㐂一澤の方がイメージに合うかもしれない。

ちなみに店名の「㐂一澤」は読みにくく、PCで変換するのも難しいのだが、公式サイトを見ると喜一澤と呼んでもいいらしい。

大繁盛の一澤信三郎帆布

東大路通をさらに北上すると、三男が経営する一澤信三郎帆布がある。こちらは2階建てで、観光客がひっきりなしに出入りしていた。

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ショーウィンドウを見ると、先ほど見た㐂一澤に比べて、柄物や別注品が多いようだ。こちらは一見帆布とは思えないおしゃれな外観で、いかにも女性受けしそうな気がする。

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ここまでやるのか、とうならせる迷彩柄のトートバッグもあり、価格は税込18,360円と高価だが、学生や若者に売れそうに思う。

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他にもビジネス向けのブリーフケースやボストンバッグも置いてあって、値段はさておき、これなら自分も買ってもいいかなという製品がいくつかあった。

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製品のバリエーションも多く、センスがよい柄物のおかげで、㐂一澤に比べると信三郎の方がずっと繁盛していそうに見えた。ただ、「信三郎帆布」「一澤帆布製」というブランドのタグは街中でよく見かけて人とかぶる気がするので、あえて「㐂一澤製」を選んでうんちくを語るのもいいかもしれない。ただ、一澤帆布の偽物と勘違いされる恐れもあるので、㐂一澤は上級者向けだ。 

綿帆布と麻帆布の違い、メンテナンス

一澤信三郎帆布の2階に綿でない麻素材の帆布も置いてあり、店員さんに聞いたところ、「使い込むと綿よりくたっとして味が出る」とのことだった。強度は綿と変わらなそうだが、展示されていた10年以上使い込まれた麻バッグは、全体的にほどよく色落ちしていい感じだった。

使っているうち、たいてい擦れて穴が開く角の部分は、布を継ぎ当てて800円くらいで修理可能らしい。安いナイロン製のバッグは、角がこすれたり穴が空いたら買い替えるしかないが、メンテナンスして数10年使える帆布製品というのに魅力を感じた。

一澤帆布のコラボ製品は一部アマゾンでも手に入る。

帆布以外にもある、おもしろ素材バッグ

信三郎の方を見て、欲しいなあと思うバッグがいくつかあったのだが、値段が高すぎた。素材の強度は申し分なく長く愛用できそうなのだが、よく考えると日常生活でTPO的に帆布のバッグを使える機会が少なそうだ。 

黒いブリーフケースや出張用のボストンバッグでも、ビジネス用にスーツに合わせるにはカジュアルすぎる。逆にカジュアル用途であれば、旅行や登山に行くにはアウトドアブランドの化繊バッグの方が軽量で高機能である。近所の買物に使うショッピングバッグくらいが帆布に最適と思うが、それなら他の安い手提げや、折りたためるエコバッグで事足りる。

クリエイティブな職種の人が、仕事で一澤帆布を持つのはいいかもしれない。なにか職人的なこだわりを感じさせる効果はある。素材のおもしろさという意味では、帆布以外に強化和紙のナオロンを使ったSIWAシリーズや、

 デュポンのタイベックを使ったバッグも超軽量で機能的だ。 

リュウド&Thinking Powerシリーズのブリーフケースは、2年ほど前に限定のブラック色を入手してハードに使っているが、安価なわりにまったく壊れる様子がない。

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色が黒だと遠目には革製品に見えてフォーマルにも使えて、話のネタにもなるのでおすすめだ。好評らしく、大き目のトラベルバッグやエコバッグも出ているようで興味津々。 ブリーフケースにはなかったショルダーベルトが付くので、自転車に乗るときも使えて便利そうだ。

若い頃は見栄を張って革のバッグばかり買い求めていたが、ナイロン製に比べると重かったり、クリームを塗ったりするケアが面倒臭くなってきた。年を取って筋肉が衰えてきたかもしれないが、毎日の持ち運びで肩が疲れる。

最近思うのは、バッグにとって軽さは正義だ。ミニマリスト的には手ぶらがベストだが、仕事用に資料を運ぶとか、冠婚葬祭で手ぶらだと見た目が締まらないときは、帆布や紙のバッグで済ませられると便利だなあと思う。